青島相照机合資工廠 青島6型について


QINGDAO6

☆ジャンク度☆
フォーカス後ピン
撮影可能


QINGDAO6 QINGDAO6
押しの強いフラッシュユニットがチャーミング。
ちょっと、髷みたい。


QINGDAO6 QINGDAO6
廉価カメラ定番のゾーンフォーカス。
つまり、目測ということだ。


QINGDAO6 QINGDAO6
シンプルだが美しいファインダー。
ちょっと徳国の血脈を感じる。


QINGDAO6 QINGDAO6
「electronic」のネームは、電子シャッター時代のアグファに共通する。
欧米圏からすると、「Qingdao」はどんな語感なのだろうか。


QINGDAO6 QINGDAO6
ダサカッコいい電池格納部兼グリップ。
グリップの反対側に三脚座がある。


QINGDAO6 QINGDAO6
単三電池2本を使用。


QINGDAO6 QINGDAO6
紅い巻き上げレバー軸のレリーズボタンがアグファの血脈を受け継ぐ。
フラッシュユニット基部に巻き戻しロック開放キーがある。
この変なレイアウトはドイツ製中級機っぽいな。


QINGDAO6 QINGDAO6
ボディをトップから眺める。


QINGDAO6 QINGDAO6
メイドインチャイナの樹脂製カメラにしては、しっかりとした出来。


QINGDAO6 QINGDAO6
一種のイージーローディングを採用。
多くの電子シャッター系のアグファコンパクトカメラと同様の仕組みである。


QINGDAO6 QINGDAO6
「tuv」「BAYEAN」の刻印が不明。
「u」は「ユィ」に近い発音で、日本人にとって最も苦手な発音の北京語である。


QINGDAO6 QINGDAO6
ゾリタール(SOLITAR)40mmF2.8を登載。
「青島1〜5」というカメラがあったのかはよくわからない。



 青島とドイツ(徳国)との繋がりは古い。清朝が人材にも人望にも恵まれず、半植民地となった不幸な時代に青島はドイツ管理地になった。ところが、ドイツは一次世界大戦で敗北してしまう。そのドサクサに紛れてドイツ管理地を頂戴してしまったのが、帝国時代の日本なのだ。日本でも有名な青島ビール(口卑酒)がドイツ系だとする説は、この辺が根拠らしいな。ちなみに拙僧は燕京ビールとか新疆ビールの方が好きだ。
 その青島ブランドのアグファによく似たカメラの存在を、現在の好事家(我々のことだ)も満更知らない訳ではない。しかし、よく知っているというコンテンツもあまり見ないな。「青島 カメラ」とYahooあたりに検索しても、ゴルフ場とか旅行パッケージとかヒットして、まずカメラの話題に達することは無い。例外は横須賀与太郎殿のブログで貴重な撮影写真を確認できる。実は、この個体は拙僧とも縁近いのだ。なので大陸系のコンテンツから調べてみたよ。百度は厄介なアプリケーションを勝手にインストールさせるかもしれないから避けて、MSN.cnで調べた。世知が無い世の中だからソースのコンテンツアドレスを掲載するけど、ヘッダーに「国貨当強 追憶那些年経典的国産相机(機)」なんて書いてあるページだから、実際に見るのはお勧め出来ないけど。一応、書いてないとコピペ女子のように自己批判を迫られるかもしれないからな。

中関村在銭陳帥同志的网頁

華麗同志的网頁
               ☆            ☆
 大陸同友のコンテンツからすると、1983年4月に青島相照机合資廠が西ドイツ(当時)のアグファへ「オプティマ”奥普蒂瑪”2746型135フラッシュ搭載カメラ」のライセンス生産を打診した(ようだ)。2年後には生産ラインを実装し、アグファから「オプティマ2746」のスペアパーツの供給を受け、(多分、中国側のスタッフの)組み立ての実習を行った(らしい)。そして、1985年5月、青島相照机合資廠から市場に送り出したのが”青島6型”フラッシュ搭載電子シャッターコンパクトカメラである。ちなみに原文だと「”青島6型”内蔵閃光電子程序快門135軽便相照机」になる。「相照机」は「カメラ」を意味する。「廠」は「工場」でいいだろうな。「合資」も本当は1つの漢字なのだが、日本に該当する漢字が無いんじゃないかなあ。基本的に大陸では海外資本の会社を設立できないので国有資本との合弁(合資)会社になる。
 アグファのオプティマは1959年に初代が登場したシリーズである。金属製ボディのゴロッとしたスタイリングだが、フロントパネルのストライプやラインワーク、セレン式露出計などがアクセントとなってチャーミングなカメラだ。高級機ではないが、樹脂製ボディやエコな塗装に慣れた現在の目には、あまり高級感があるとは言えないギラツキのある金属ボディの光沢も新鮮で好ましい。セレン式露出計ながらもプログラムAE専用機である。大量生産品のライカ判カメラとしては極めて初期のパッケージングだろう。プログラム専用機なので、AE機構に問題があると事実上使い物にならなくなってしまう。残念なのだが、丈夫な部品を使っているらしく、案外、壊れた個体を見たことが無いな。半世紀も前の工業製品だから、精度的には安心できないのかもしれないが、ひとまずセレン素子を光源に向けてシャッターを切ると絞りが動いている個体が多い。
 拙僧にとってはオプティマ(オプチマ)といえば、ギラツイたメタルな60年代のブツなのだが、Yahooあたりで「オプティマ アグファ」で検索すると、黒いボディの小振りなカメラがヒットする。廉価で使い物になる日本製カメラが覇権を握るようになると、アグファも脅威を感じて電子化を進めたのだ。アグファの電子シャッター機の進化は不明瞭で、「セレクトロニック」とか「センサーセレクトロニック」とか、よくわからない。ボディに明確なモデル名を印字していない個体もあって、レンズ枠の印字から「パラトロニック」と拙僧が認識しているモデルもあるのだが、正確な命名なのか分からないな。一般的にオプティマというと、1977年に登場したオプティマ535センサーあたりを指すようだ。これはセレン露出計を搭載したオプティマ200センサーが電池式の露出計(Cds?)になり、「セレクトロニック」を経由してオプティマ500センサーから進化したものである。「セレクトロニック」の時には電池もMR9を2個仕様だったのだが、オプティマ535センサーの頃にはMR9を3個仕様になっている。上位機種としてオプティマ1035センサーが存在するのだが、本カメラの基となった「オプティマ2764」が見当たらないなあ。
 本カメラによく似たアグファのカメラとしてオプティマセンサーフラッシュがある。これも1977年に登場したとされており、大げさなフラッシュユニットやボディラインからはみ出したファインダーなど、基本的なパッケージングが同様であるが、グリップなどが本カメラと異なる。これについてはBISON殿のコンテンツが詳しい。1977年と言えば、我が国なら画期的な世界初のAFカメラがコニカからC35AF(ジャスピンコニカ)として登場している。その2年前の1975年に、世界初のフラッシュを搭載した実用的なカメラとしてC35EF(ピッカリコニカ)が登場しており、既に日本の工学機器メーカーの先行に欧州の中堅メーカーが追随できなくなってきた頃だ。
 大陸同胞のコンテンツによれば、初期のロットはドイツやポルトガルからの部品で組み立てているそうだ。拙僧の個体はレンズが「ゾリタール(SOLITAR)40mmF2.8」だが、「QINGDAO40mmF2.8」の個体もある。というか、「ゾリタール」の方が貴重なのだろうな。全ての国産化は1980年代後半に実現したそうだ。大陸のカメラ産業の最盛期における優秀産品だとされ、1987年には「全国相照机械産品表比一等奨」、1998年には「首届全国相照机民意評選金奨」を受賞している。どれほど大したものなのか、全くわからないけど。
 初期のモデルに「MADE IN GERMANY(徳国制造)」とか「MADE IN PORTUGAL(葡萄牙制造)」を印刷した個体があるのだが、全て大陸製なのだそうだ。なんだかちょっと怪しいなあ。そもそも、アグファってポルトガルに工場があったのかしら。
               ☆            ☆
 簡単に諸元を紹介したい。レンズはゾリナール40mmF2.8で4郡4枚。全てのレンズにコーティングを施し、国家1級鏡頭(レンズ)標準だそうだ。拙僧の手元には「パラトロニック(PARATROIC)」とレンズ版に印刷のあるオプティマ535センサーによく似たカメラがあるのだが、同じレンズを使っているのだろう。前述の通り、後に国産化し「QINGDAO」銘のレンズに切り替わる。プログラムAEで曝光範囲はEV6〜16、シャッター速度は1/30〜1/1000に変化する。手動切り替えでASA25〜500に対応し、露出補正も可能。ファインダーはx0.78倍で、パララクスを自動補正。被写体が暗すぎてAEが対応できなくなるとLEDで警告を表示する。この辺は原始的なオプティマと共通点があるな。電池が不足も警告するらしい。見え具合は良好だが、これも部品の全てが大陸製になるとどうか分からないな。
               ☆            ☆
 フォーカスはゾーンフォーカスで、要するに目測である。それはたいした問題ではないのだが、この固体は後ピンになってしまうのだ。つまり不良品である。そこが大陸製の素性が露になるところだな。実際に大陸で見かける青島ブランドのカメラは粗悪で、コンディションも最悪なので、まず買いたいとは思わない。しかし、本カメラは綺麗な固体で作りもしっかりしている。部品がドイツ製なのかもしれないな。フォーカスさえ正常なら実戦にも対応可能なのだが惜しい。大陸のネットオークションである淘宝网なら100元くらいだけど、大陸にクレジット番号を教えてまで買うカメラではないな。そもそも、淘宝网なんかで買うのはお勧めできない。折角、良質で安い工業製品に恵まれた日本に住んでいるのに。
 一般的にソビエト製カメラも初期のモデルが最高で、徐々にコストダウンというか品質が劣化するのだが、大陸製カメラも同様なのだろう。

 
 撮影結果(タウン山車祭りプレスト編)をご覧頂きたい。
 

(了:2014/4/29)


カメラメニューへ戻る

「意してプラカメ拾う者なし」へ戻る

inserted by FC2 system