オリンパス ペンEESを修理してみる


 絞りの粘りが残るまま撮影を行い、その後も暫くほおっておいたペンEESなのだが、ひょんな事から絞り不良のペンEEを手に入れ、ついでに両方の絞りを治そうと重い腰を上げたのだった。絞りユニットの構造自体はまったく同じなのだが、使われているねじがプラスであったりマイナスであったりと興味深い発見もあった。
 そこで今回はペンEESとペンEEの分解・修理の経過を報告し、両者の微妙な違いなどを再確認したい。


 ペンEESのヘリコイドを外したところ。ここから先はペンEESもペンEEも構造は変わらない。
 レンズ周辺のカニ目を廻すと露出計ユニットがごそっと外れる。
 現れたレンズ・絞りユニットを留める3つのねじがマイナスねじである事に注意。


 これが問題の絞りユニット。ここの動きが鈍くなっているのだ。


 絞りユニットを取り外す為には貼り皮を剥がし、レンズボードを分化しなければならない。
 画像には残っていないが、レンズボートを取り付けるねじがマイナスねじであった事を記憶して頂きたい。


 取り外した絞りユニット。


 絞りユニットをベンジンに浸ける。


 しばしの昼食。
 シャッターユニットには問題が無いので手をつけない。

 1時間ほどベンジンに浸けたら絞りユニットはスムーズに動くようになり、分解とは逆の手順で組み付けた。露出計を明部や暗部に照らし、それなりの絞りに開閉したので、これで完了とした。
 次はペンEEである。此方は絞りが粘る他、露出不足時のシャッターロック機能が動かない状態であった。何れもペンシリーズではメジャーな不具合の様である。


 レンズ周辺のリングをカニ目で廻すと露出計ユニットが外れる。
 以降の手順はペンEESと全く同じである。


 EESと同様に絞りユニットの動きが渋い。っが、レンズ・絞りユニットを留める3本のねじが+ねじである事に注意。
 シャッターロック機構は、ドライバーで弄っていたら動き出したので、あまり深く詮索しない事にした。


 貼り皮を剥がすとレンズボードを留めているねじもプラスねじであった。
 製造時のものだと思われるが果たして。


 取り外したレンズ・絞りユニット。
 以降の処置はペンEESと同様。

 ペンの情報としては有名なコンテンツOlympus Pen Galleryによると、ペンEEの発売は1961年、ペンEESの発売は1962年となっている。クラシックカメラの整備で悩ましい事の一つがなめやすいマイナスねじである。1960年代初頭に販売したペンEEにプラスねじが使用されていたのは以外だったが、ほぼ平行して販売したペンEESにマイナスねじが使用されていたのは何故だろう?途中のロットから整備製の高いプラスねじを採用したとも考えられるが、そうすると1960年代はマイナスねじからプラスねじへと移行する過渡期であったのであろうか?ちなみに後裔機のペンEE2/EES2の発売は1968年である。
 何れにしろ拙僧が生まれる前の出来事であり、後々に疑問が溶けるのを楽しみに待つ事としたい。

(了:2005/11/22)


カメラメニューへ戻る

「意してプラカメ拾う者なし」へ戻る

inserted by FC2 system