オリンパス ペンEESについて


PenEES

☆ジャンク度☆
絞り粘り(現在修理完了)
何とか撮影可能




PenEES     PenEES

 セレン受光部内側の小さなヘリコイドを廻して焦点を合わせる。焦点調節はゾーンフォーカス(目測)式。


PenEES

 フィルムカウンターはオートリセットではない。ソビエトカメラの様に、フィルムセット後にカウンタープレートを0に設定する必要がある。尚、カウントは順算式ではなく逆算式。


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 ボディ下面のレバーにてフィルム室の開閉を行う。


PenEES     PenEES

 フィルム装填は一体形の裏ぶた底板をがばっと外す方式。これもソビエトカメラ然としているが、ようはいかにソビエトカメラの進化が停滞していたかと言う事か?


 オリンパスペンEE3がとてもよく写るという事が分かれば、当然同シリーズの焦点調節が可能なモデルに興味を持つのは自然の生業でしょう。なんてったってEE3は固定焦点ですから。だもので、早速中古カメラ屋で入手・・・とはすぐにはいかなかったのであります。と言うのはペンシリーズは人気が高く、高いのであります。もっとも、それは中古カメラがブームの頂点にあった頃の話で現在は落ち着いているのかもしれません。何れにしろ拙僧がEE3でオリンパスのハーフカメラの味を占めた頃は、簡単に入手できるものではありませんでした。
 さて、月日は流れて拙僧はカナダに渡り、心身にトラウマとなるほどの傷を負って日本に逃げ帰ってきた時のお話でございます。拙僧の体が疲れきっていたのは10時間オーバーのフライトだけが原因ではありませんでした。それでも重量超過の荷物を引きずりながら新宿へ向うのであります。故郷へ向う為のJR新宿駅から西武新宿駅への乗り継ぎにかけるのであります。改札口を出ると新宿は変わらず光り輝いていました。しけた貧乏臭いバンクーバなんかとえらい違いです。目指すはそう、東口の登山口です(その当時はまだ、きむらもありましたけど)。そこで拙僧を待っていたのは本カメラ、オリンパスペンEESでありました。プライスタグはジャンクとしてはちょっと高いですけど一通り動きそうだし、何しろ手持ちで少ない円でも変える値段であったのであります。拙僧の帰国を祝ってくれているのだと解釈し、然程迷わず連れて返りました。
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 その殆どの機能に問題は無さそうな本カメラですが、それがジャンクであることを決定付けていたのは絞りが粘っているのでした。本カメラはレリーズボタンを押下した際に、デフォルトで閉じている絞りが適正な露光にあわせて開くタイプの物です。が、これが粘りによって開きにくくなっていることが判りました。ただ、良く観察するとF5.6〜開放まで絞りが開く場合は粘りがあるものの、F22〜F8の範囲では粘りは深刻でないように見えました。時代を感じさせられるのは本カメラがISO200までの感度にしか対応していないところなのですが、晴天下での撮影は問題ないと考えたのです。シャッタースピードは1/125〜1/250の間だろうと予測しましたが、実際には1/30と1/250の切り替えだそうです。オリンパスペンシリーズはshinさんのHPが詳しいのでご参考ください。
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 では実際に撮影してみましょう。まず、びっくりしてしまうのがフィルムの装填です。本カメラはクランクノブを引っ張り上げるだけで蝶番で繋がったフィルム蓋が開くものではありません。ボディ下面にあるレバーを廻してロックを外したら、一体型のフィルム室の裏ぶたと底板ががばっと外れる方式です。こういう方式はローライ35やサモカ等に見る事ができるので、更にコンパクトを追求したカメラを形成するには都合の良い物なのかもしれません。「かぽん」なんて裏ぶたをはめると、なんとなく精密感に欠ける気がして露光漏れが気になるのですが、実際に撮影して問題が発生した事はありません。忘れていけないのは本カメラはフィルムカウンタがオートリセットされないため、手動で初期値を設定する必要があります。気をつけなければならないのは、フィルムカウンタが順算式ではなく逆算式のため、装填したフィルムの撮影枚数(実際にはハーフ判なので2倍)を初期値として設定しなければならない事です。初期値設定はカウンター中心部を軽く押しながら廻すだけです。カウンタは72まで記述されているので、うっかり36枚フィルムを挿入しても大丈夫です。
 次にレンズ鏡筒を廻し挿入したフィルムの感度を設定します。感度はISO10〜ISO200まで設定が可能なのですが、当時(1968年)でもISO10なんて言う感度のフィルムは有ったのかしらん?更に鏡筒を回す事によって任意で絞り値を設定できます。この際、シャッターは1/250に設定されるようなので、簡易マニアル撮影も可能ですね。こういうところが玄人にとってペンシリーズを注目させるチャーミングポイントでありますね。  本カメラの存在意義である一つが焦点調節です。セレン受光体に囲まれた小さなヘリコイドは頼りなく見えますが、しっかりと3点のクリック感で焦点情報を知らせてくれます。クリック感はヘリコイドに刻まれた「バストショット」「3人の人」「山」のイメージに対応していますが、これでは実際の撮影距離が判りませんねえ。上記のshinさんのHPによりますと、それぞれ「1.2m」「3m」「15m」を示しているようです。クリック感の前後にもヘリコイドを廻す事ができるので、「山」の先は無限遠だとして「バストショット」の前である最短撮影距離が気になる所です。が、shinさんのHPでも0.6m説と0.9m説があるようで決定的な資料は無いようです。拙僧如きが掘り下げても結論はでないので割愛しますが、撮影結果を見ると0.9mよりは随分と寄れる気がしますねえ。

 


 EE3と比べてレンズもF3.5からF2.8と明るくなっているのですが、拙僧の個体は絞りが粘っているので恩赦を受ける事ができません。
 手のひらに収まる小さなサイズとクラシカルなルックスが積極的な携帯意欲を沸かせます。残念なのはISO200までしか対応していない点です。ISO400を使用できれば屋内外での幅広い運用が可能だと思うのですが。
 

 では、作例を見て頂きたい。

(了:2005/11/04)


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