パナソニックが様々なデジカメが発売している事を思えば、ナショナルブランドのカメラが存在しても不思議では無いのかもしれない。しかし、本カメラの存在はどこか妙だ。もしかしたら、以前からAFユニットかなにかを松下傘下のメーカーがOEM生産していて、勢い余ってカメラそのものを作ってしまったのかもしれない。若しくは、ストロボやバッテリーの流通に乗ってカメラ販売を狙ったのか、何れにしろ確証は無い。拙僧が本カメラに興味を持ったのは、ナショナルのカメラと言う奇妙な感覚と105円と言うプライスタグであった。ところが本カメラはただの珍カメラでは無い、なかなか使えるカメラだったのである。
 本カメラがAFコンパクトカメラの歴史の中で、比較的初期に位置するカメラであろう事は想像できる。しかし、豊富な筈のインターネットサーフィンでも本カメラの情報を得る事が叶わなかった為、正確なその位置は判らない。但し、そのパッケージングからある程度の位置関係は想像できる。デザインは直線を主とした外装を持ち、全自動巻き上げ、及びDX対応。恐らくキヤノンのオートボーイ2辺りが同世代ではなかろうか?特徴的なのはレンズバリアで、スライド式なのであるがバリア本体が半透明のプラスチックなのである。拙僧は他にこの様な素材をレンズバリアとして採用したカメラを他に知らない。


特徴的なレンズバリア

 メインスイッチはレンズバリアの下部に位置する。本スイッチをスライドする事によってレンズバリアが開く方向にスライドされ、レンズが露出し撮影可能状態となる。また、レンズバリアには突起部があり、これに指を引っ掛けレンズバリアを閉じる方向にスライドし、レンズを隠し撮影可能状態を解除する。レンズは35mmF3.2と少々中途半端な明るさとなっており、「National Lens」の名が刻印されている。このような特徴のあるレンズを搭載した別のカメラを探す事によって、本カメラの素性がわかりそうなものである。今後の課題となろう。


○印内にスライド式メインスイッチが存在する


露出したときのレンズ

 管理人も購入動機が不誠実だった為、撮影結果には大して期待をしていなかったのだが、今回は良い方向に裏切られた。まず、焦点合焦の歩留まりが良いのである。これはニコン初代ピカイチやキヤノン初代オートボーイより良いレベルである。薄暗い降雪の午後や室内、或いは人の顔よりは小さい人工物が被写体でもピントを外さないのは立派だ。初代ピカイチの章で「ニコンはレンズに手を抜かなかった」旨を記述したが、AFユニットメーカーのナショナルはAFユニットに手を抜かなかったのであろうか?もっとも、心なしか初代ピカイチより逆光時のフレアが少ないような気がする。もっとも、初代ニコンピカイチの世代とオートボーイ2の世代の違いとも言えるかもしれない。


背面には日付設定のパネルがある

総じて普通に使えるコンパクトカメラであった。惜しむべきはフォーカスロックが無い事で、これさえあれば真ん中以外の被写体に焦点を合わせる事ができ、近代コンパクトカメラと同様の使い方が可能であっただろう。

では、作例を見て頂きたい。


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ナショナル C−D600AF DX


☆ジャンク度☆
電池蓋不良
外装欠け有り
撮影可能


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