コンパクトカメラ:DL100について


FujicaDL100

☆ジャンク度☆
AFユニット不良
撮影不可




FujicaDL100 FujicaDL100

 特異の形状をした鏡筒部。好き嫌いが分かれるデザインだが、幾つかのカメラが継承した。  並んでいるのは防水APSカメラ「エスピオンRVX」


FujicaDL100 FujicaDL100

 ボディ上部に日付設定用の3つのダイヤルがある。オート7と同じ。
 感度は鏡筒下部のレバーで設定。上限はISO400。


FujicaDL100

 フラッシュは手動でポップアップする。


FujicaDL100

 斜めに裏ぶたが開く。ドロップインローディング(DIL)機構を採用。

 真正面から見たフグみたいな鏡筒のデザインが印象深いカメラである。我々が思い浮かべるカメラとしての機能美からかけ離れているので嫌いな人は多いようだ。デザイナーはイタリア人という噂もあるので、日本的なセンスとしては受け入れがたいのかもしれない。ところがフジはこのデザインを気に入ったらしく、その後のHDシリーズ(銀塩)やエスピオンRVX(APS)がその雰囲気を継承している。双方とも防水カメラである事が興味深い。拙僧も初めにハードオフで見たときには奇異に見えて見送ったのだが、その強い印象が頭から離れずにいた。なのでキタムラのジャンク箱に転がっていた時には迷わず救出した。210円也。
 レンズにはスカイライトフィルターがオフセットされている。それは構わないのだけれども埃が入り込みやすいのが気になる。鏡筒部のゴムリングを外せばネジ1本で外れるので、悩んでいる方は試して欲しい。拙僧はレンズのゴミや傷をあまり気にしない方なのだけど、拭いてみたら予想以上にクリーニングペーパーが黒くなったので驚いた。ボディは大柄だが時代背景を考えると妥当なところだろう。グリップの大きな出っ張り具合と鏡筒とのクリアランスの無さからくる安定感の不足がキヤノンAF35MLを彷彿させる。本カメラはフジのDIL機構を初めて搭載した「DL−20」の上位として位置するもので、AF35ML程ではないがフジカオート7やDL−200に比べると、同じベークライト製のボディも品良く感じる。
 さて、そのDIL機構(ドロップインローディング機構)がいかに画期的なものであるかはフジのHPを参考にして頂きたい。これ以降、カルディアシリーズから固定露出固定焦点の簡易カメラに至るまで、殆どのフジ製コンパクトカメラはDIL機構を搭載している。そもそも、フィルム装填時に失敗を軽減させる為のものだが、フィルムの装填に抵抗感の無いカメラ人類の一部の方々にはあまり評判がよろしくないようだ。拙僧にとっては却って装填ミスを誘発した事もあるけど取り立てて文句を言いたいほどでは無い。ただ、構造上コンパクトなボディを設計する際には弊害があるのではと想像するがどうなんだろう?リコーR−1やオリンパスμ等のスリムコンパクトカメラに比べてティアラ辺りは大分幅広に見えた気がするなあ。
 尚、本カメラはプリワイディング機構は搭載していない。それを搭載するのは後裔機のDL−200からになるのだが、その際に電源は単3電池からリチウム電池へと変わった。モーターのパワーがそれだけ必要になったのだろうな。それだけが理由ではないのだろうけれども、本カメラは苦しそうにフィルムを巻き上げる。
 動作チェックの段階では問題ないと思われた。あれ?っと思ったのはプリフォーカス時に点灯する赤いLEDが近接距離の被写体でしか点灯しない事だった。まあ、ジャンク箱で拾ったAFコンパクトカメラであるから、LEDの点灯が不安定なくらいは気にも留めなかった。ところが奴は正しい仕事をしていたのだ。DPEのあがりを見たら、近距離(1m+α)の被写体を撮影したカット以外の全てのカットは完全にピンぼけていたのだ。どうやらAFユニットが完全に壊れている様だ。本カメラはフジカオート7の系列、或いは同じレンズを搭載するから写りには期待していた。現にピントがあったカットは海水の透明感も美しく、メリハリのあるプリントであったので残念でならない。
 とりあえず動作をしている様に見えて実は壊れているというのは意外と少ない。されどジャンクはやっぱりジャンクなのであった。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2005/12/14)


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