フジ ズーム カルディア3000について


ZOOMCARDIA3000

堂々たる存在感。
もはや、コンパクトカメラのサイズではない。

☆ジャンク度☆
無し
撮影可能


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 AF一眼レフの「EOS Kiss」と並べてみた。
 多機能コンパクトカメラ、つまりブリッジカメラはリコーミライが最高峰と思っていたが、いやいや、世の中は広い。


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 見る者を圧倒するフラッシュ、実際に威力も絶大だ。
 なんと取り外しが可能で、恐らくニュータイプの方々ならサイコミュで遠隔操作できるのだろう。

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 メガ粒子砲発射部。
 メンテナンス時には傷が付かないようにガードを被せる。

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 目標射程距離によって砲身が伸長するのだ。


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 フジノンの3倍ズームを搭載。
 ボディの青ラインはキシリア少将指配下のニュータイプ部隊に所属することを表している。

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 背面はシンプル。
 操作系は意外と常識的な物で機能も絞り込まれている。
 オートボーイシリーズのトリッキーな操作系と理解に苦しむ機能の満載とは対照的だな。

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 フジフィルムのコンパクトカメラと言えばフィルムのプレ・ローディングを搭載している。
 フジフィルムの言うところのDILだな。

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 背面にマクロ/遠景撮影モードの設定ボタンを配置。カメラを構えて右手の指でズーミングを行う
 興味深いのはシーソー式のズーミングボタンのほかに、焦点距離を広角・標準・望遠にフィクスする専用ボタンを搭載しているところだ。
 レリーズボタンの周辺に注目していただきたい。



 最近ではフィルムカメラは買わなくなった。それでも中判やハーフ判、それにMF一眼レフには心が動かされるのだけれども、コンパクトカメラになると手が出ない。何故ならば、その類のカメラはその粛清がやっと革命委員会に認められたとう段階だから、新しく増やすなど人民解放軍のxx行為を既述したxxをxxの前でばら撒くのに等しい行為なのである。拙僧はそんな冒険はマクガイヤーさんにお譲りする。それに、流石に100円で拾ったフィルムカメラにフィルム+0円プリント代で800円弱を払うのは拙僧も抵抗を覚えるようになったのだ。裸だと恥ずかしいからイチジクの葉をつける。知恵の発生である。
 この点、デジカメは例え原価割れしてもネットオークションで捌けるし、ランニングコストも殆どかからないからつい増やしてしまうのだ。ハーフ判カメラは個性的なパッケージングのカメラが多いし、MF一眼レフなら自然と撮影に熱意が湧いてくるから興味は尽きない。反対に最も魅力に感じないのがフィルムコンパクトカメラだ。素性の良い単焦点レンズを搭載した物や、二焦点レンズなどユニークな物も存在するけど、大抵は既に所有ていたか、似たような物を所有した経験があるのでなかなか手が伸びない。最も魅力に欠けるのがズームレンズ搭載コンパクトカメラで、こういうカメラは撮影には何の問題もないのは解っているのだけれど、そのようなカメラは個性的な魅力というのを殆どの場合持っていないので、手放すどころか処分するのに精一杯なのだな。何ていったって大粛清の最中なのだから、もし、全く使う見込みのないカメラの増加を家庭内紅衛兵にでも見つかったら最悪の場合人民裁判で糾弾されてしまうではないか。
 という訳で、余程インパクトのあるフィルムコンパクトカメラでなければ手を出さないことにした。実際、買っていない。電池の入ったオートボーイSが500円で転がっていた時も、使えそうなオートボーイAXLが250円で転がっていても拾わなかった。拙僧のコンテンツ内では、いわゆる「ブリッジカメラ」の存在位置がイマイチ統一されていないのだけれども、今回はコンパクトカメラの範疇に入れさせていただきたい。そうなると、後は相当個性的な魅力を持ったカメラでないと拾い上げる対象にはならないから、リコーのミライ、ミノルタのAPEX、コニカのアイボーグ位しか残っていないだろうとタカを括っていた。まあ、この3種はレッドノートに記載されているようなレアなカメラであり、相場もかなり高いからディーゼルのハイエースが消えていった時のように、フィルム・感材の供給がストップする直前に投売りされるのをゆっくり待つことにした。しかし、嗚呼、世は拙僧の想像などより遥かに広いのであった。
 そのカメラをジャンク籠で見つけた時には強烈に弾きつけられた。一瞬、ポラロイド系カメラかと思ったがそうではない。いや、それを見た時、これは1年戦争で破棄されたニュ―タイプ専用モビルアーマーだと拙僧は確信した。ボディ上部に折りたたまれたフラッシュを立ち上げた堂々たる姿はまさにモビルアーマーだ。恐らく、フラナガン機関が敗戦時に連邦に接収される前にアステロイドベルト辺りにでも隠蔽していたのだろう。多分、このフラッシュ発光部は実践段階ではメガ粒子砲に換装させられる予定であったと思われる。ランバ・ラル大尉率いる部隊が地球に降下した際も、ザンジバルには後にメガ粒子砲を搭載するオフセットボックス内に投光器を搭載していたのだから有りうる話だ。
                   ☆               ☆
 妄想はこの位にして、まずはフジフィルムのコンパクトカメラの系列を紹介せねばなるまい。コンパクトカメラのAF化で先陣を切ったのはご存知、コニカの「C35AF ジャスピンコニカ」である。この、コニカの英断は正当に評価されるべきものだが、肝心のAFユニットは北米のメーカーがパテントを握っていたらしく、その後のフジフィルムやヤシカやミノルタやマミヤまでが相違点を探すのが困難なほど似たようなカメラを出している。共通するのはフォーカシングは自動でも巻き上げや巻き戻しは手動なのだ。フィルムの装填からフォーカシング、撮影から巻き戻しまで一貫して自動化して名を制覇しているのはキヤノンの初代オートボーイだ。全く、こういうベーシック層を惹きつける商売に関しては、キャノネットや一眼レフのAシリーズを取り上げる必要も無くキヤノンは上手い。時代は前後するかもしれないけれども、フジフィルムが世に出したのがフジカオート7だ。綺麗に写る良いカメラなんだけれども、全自動コンパクトカメラながら、どこと無くフラッシュフジカを思わせる野暮があるな。
 次の一手としてフジフィルムが考えたのはフィルム装填を簡便にすることだ。カメラを写真屋に持っていって店員にフィルム交換してもらう方々ってのが意外と多いようなのである。フィルムを装填したつもりがパーフォレーションが巻き上げスプロケットに引っかかっていなくて、折角の記念写真が「ぱー」になってしまった経験は拙僧にもあるから、あながち解らない話ではない。厄介なのは手動でフィルムを巻き上げしていた時代なら、フィルムの先端が巻き取り軸に引っかかっているのを確認できたし、装填後でも巻き上げに連動して巻き戻しクランクが回転すればフィルムを装填し忘れていた等というヘマは少なくなるのだけれども、全自動だとそうもいかない。メーカー側としてはカメラに小窓を設けてあり、フィルム装填時にはゼブラカラーの帯が左右に動いたり描かれたドットが回転するので確認してくれというのだけれども、そもそも、撮影時にはファインダーを覗いているので、レリーズ時にはそんな小窓を覗く事は不可能だ。両腕を伸ばしてボディ背面を眺めて撮影するスタイルはデジカメ登場時以降の話で、それまでは少しでも手ブレを防ぐ為に光学ファインダーを目蓋に押し付けて撮影していたのだ。
 いかにぺらぺらと頼りないフィルムを安全に装填するかという問題は、カメラが自動化する前から様々なメーカーで考えられていた。有名なのはキヤノンのクイックローディング機構で、拙僧はキヤノン者ではないので間違っているかもしれないけれどもスタンダードクラスの一眼レフの「FTQL」に初めて搭載され、その後、既存のぺリックスにも搭載されて「ぺリックスQL」が発売されている。キャノネットも大幅なモデルチェンジを経て「キャノネットQL17/19」を世に出している。これ以降のスタンダードクラス以下のキヤノンカメラはクイックローディングが当たり前となって、フロントパネルに「QL」のプレートが躍っているものの、あえて名称に「QL」の文字は加えられていない。拙僧の手持ちではキヤノンの血脈としては異端児扱いのベーシッククラス一眼レフの「EX−AUTO」にもコンパクトカメラの「キヤノネットG−III」にも「QL」のプレートが掲げてある。クイックローディング機構というのは簡単に言うと、フィルム巻上げ軸とフィルムを押さえるプレートの間にフィルムを差し込み、巻き上げレバーを捻ると上手い具合にフィルムが巻き上げられるというシステムだ。しかし、この1〜2年でFDマウントやEFマウントのレンズ・ボディは3ダース弱は増殖したけれども、T−50以外は撮影らしい使い方は全くしていないから本当に便利なのかどうかは拙僧も解らない。我ながらずぼらさに感心してしまうな。ミノルタの初期のAFコンパクトカメラでも似たような機能を搭載している。これなどは半透明のプラスチックのプレートでフィルムを押さえると「ぬるっ」っと自動的に巻き上げスプロケットがパーフォレーションを送るのでちょっと感激してしまうな。勿論、実際には撮影らしい使い方は全くしていないから・・・(以下略)。
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 フジフィルムはこの問題に真面目に真正面から取組んだ。フィルムメーカーとしての意地もあっただろう。これがコダックだったら126判とかディスクフィルムとか無秩序な規格のフィルムを勝手に増殖させて、我々カメラ人民を悩ませているところだな。勿論、コダクロームを存分に消費して頂く方々が本来のパトロンなのだから、極東のジャンク愛好家など相手にする必要はコダックには無い。フジフィルムが開発したのがドロップ・イン・ローディング機構で通称「DIL」と称する。実は、ここまで記述していて何なのだけれども、本コンテンツではDIL機構そのものはそれ程重要ではない。重要なのはそのDIL機構を搭載した次世代全自動コンパクトカメラが焦点調節をゾーンフォーカスで行う廉価な「DL−20」であったことである。実際のところ、肝心のAFユニットを廃してしまったのだから全自動とは言えない(ちなみに「DL−10」という固定焦点の簡易カメラもある)。しかし、ここから次世代のフジフィルムのコンパクトカメラは始まったのだ。DIL機構については拙僧のDL―100のコンテンツかフジフィルムのHPをご覧頂きたい。
 本コンテンツで重要視したいのはフジフィルムが自社製カメラに与える採番である。DL−20以降、フジフィルムのコンパクトカメラは「カルディア」か「DL」のブランド名を冠して採番を振り分けられていた。この「カルディア」と「DL」の関係は拙僧のもちょっとよく解らないのだけれども、例えば「カルディア・トラベル・ミニ」に極めて良く似た「DL−600」というカメラが存在してネーミングルールを把握できていない。ただ、少なくても番号が大きいほどゴージャスなデザインで図体はでかくなっていった。それでいてオートボーイみたいな多機能かというと大いに疑問である。ニコンFM10+AiS50mmF1.8よりかなり嵩張る「カルディア ズーム 2000」等と言うコンパクトカメラがあるが、搭載するレンズは40〜80mmの2倍ズームで大したマクロ機能があるわけでもない。チノンスーパージェネシスやリコーミライが田町のお立ち台で踊っていた時にフジフィルムが何をしたかったのかは良く解らない。敢えて言うなら21世紀を6年も経過した辺りからコンパクトデジカメは本当にコンパクトになり過ぎてしまって、そのビーズ玉程のアクセスボタンを欧米人が扱う姿はいささか滑稽であり、件の「カルディア ズーム 2000」もその辺のニーズに応えたサイズなのかもしれない。しかし、拙僧もフジフィルムのナンバリングは2000でストップしたと思っていた。拙僧が高校生の頃(という事は1980年代)に各国の軍隊は既存の兵器の耐久寿命を21世紀まで持ち越すために様々なプランニングを行い、結果としてミラージュ2000とかファントム2000とか「2000」の付く工業製品は21世紀という新たな新時代までの最後の繋ぎ留めという先入観が有った。だが、拙僧は今度も世の中をなめていたようである。
                   ☆               ☆
 冒頭のように突然のニュータイプ用モビルアーマーの出現に拙僧は戸惑った。だがそれは一瞬の事で速やかに手に取ると電池は生きているし、取りあえずカメラとしての動作は行うようだった。フラッシュ発光もチェック。最早迷いは無い。500円玉を店員に押し付けて即効Get絨毯爆撃だ。
 さあ、これからインプレッションっと行きたいところなのだけれども、実際のところ、拙僧としては冒頭の本カメラのサムネイル画像で、パッケージングやデザインにピンときて下さる方がいらっしゃれば満足なのである。勿論、3倍ズームレンズのマクロ機能は「2000」に比べて遥かに使い物になるし、フラッシュも見掛け倒しではなく、拙僧の摩下の標準師団の装備であるサンパックAuto20SRより強力な破壊力を発揮するようにもみえる。しかし、既に戦争は終わってしまったのだ。本当のところ、拙僧は本カメラの数字で表せられるようなスペックはどうでもよく、かって存在した前述のサムネイル画像でかつて存在したこのようなモンスターコンパクトカメラを眺めて頂きたいのである。今更、モニノ空軍博物館で旧ソビエトのWIG機「カスピ海の怪物」を見るような暖かい目で見て欲しい。
 拙僧の固体はAFユニットの調子が悪いらしく、合焦の歩止りが悪い。これも、敗戦間際に軍事工廠で組み上げた物だから仕方ないのか、或いは拙僧がニュータイプで無いから使いこなせないのかもしれないな。昨年、どういう訳か名古屋放送でガンダム(無論初代)の再放送をやっていて、20数年も経過した21世紀においてア・バオア・クー攻防戦にブラウ=ブロが出撃しているのを発見した。拙僧などには到底辿り着けない、歴史の奥深さを再確認した次第である。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2007/6/21)


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