キヤノン オートボーイ・テレ6について


AutoboyTele6

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能




AutoboyTele6 AutoboyTele6
 トップとフロント部にも誇らしく「TELE6」のネーミングが。


AutoboyTele6 AutoboyTele6
 黄色いボタンはフラッシュ強制発光用だと思われる。横のボタンは4秒バルブ(!)のボタン。
発光禁止ボタンが見当たらないのだけれども・・・。


AutoboyTele6 AutoboyTele6
 ハーフ撮影時にはアパチュアにマスクが張り出す。


AutoboyTele6 AutoboyTele6
 オートボーイ3以来のティルトノブが復活。
他にもリアパネルのスイッチを眺めるだけで妙な機能が搭載されているらしいのが判るのだが・・・。


 オートボーイシリーズの中でもお好きな人には珍品として知られているのが本カメラ「オートボーイテレ6」だ(本当か?)。何故なら本カメラはハーフ判へ切り替えが可能なAFコンパクトカメラなのである。更に2焦点レンズを搭載しているので一台で4種類の焦点距離のレンズを搭載している事になる(本当か?)。ちなみに本カメラには専用のテレコンが用意されていたらしく、更に2焦点を足して「テレ6」の名を冠しているのだそうだ。
 デザインは前機種のオートボーイテレに比べて幾分精練されている。そりゃあどう贔屓目に見たってあのウスラでかく、前後にぎーぎー動くレンズユニットは不細工に見えただろう。ところが今度はレンズが引っ込んだままになってしまった。常時カバーに隠れたレンズはレリーズの瞬間のみちょろっと飛び出し、再びカバーの奥に隠れてしまうのである。恐らくオートボーイテレの販売不振で技術者なりデザイナーなりは上司に徹底的に怒られてしまい、萎縮した気持ちがレンズにまで反映してしまったのだと拙僧は思うな。大体日本人は怒り過ぎる民族だ。欧米だけでなく、アジア諸国だって上司が頭ごなしに怒鳴り散らしたら部下は喧嘩を買うか提訴する。怒鳴る管理者や経営者をポジティブに評価するのは日本と韓国くらいではないか。拙僧はホンダの単車を乗り継いだりビートのオーナーではあったけど本田宗一郎のようなタイプの人間は好きになれない。怒鳴って気持ちよくなった経営者の裏で、どれだけ苦しみながら労働者が会社を支えたのかと思うと八路軍と共闘したい気分である。
 ええっと話を軌道修正してレンズの話に戻ります。35mmF3.5と60mmF5.6の2焦点で、オートボーイテレと比べると焦点距離が広角側にシフトしてF値が暗くなってしまった。やっぱり萎縮した技術者の気持ちが反映されているではないか!!かどうかは兎も角、オートボーイテレの広角側40mmF2.8の明るさの為には、ウスラでかいレンズユニットは必須だったのかもしれないな。それはそれとして、広角が35mmになったのはコンパクトカメラの用途からして福音だ。しかし、望遠(準望遠?)側の60mmはいかにも頼りない。何というか「ああ、望遠レンズを使っているな」と思える充実感が無い。ただ、今回の試写では60mmの視野が標準に近いせいか意外と自然に思えた。どちらかと言うと60mmでカメラを構えて、引きが足りないなと思ったときに35mmに切り替える事が多かった。散歩写真では野花や小動物を撮る機会が多いので、寄りの効く60mmの方が何かと都合が良いのかもしれない。
 昭和期のオートボーイシリーズは、どういう訳か考え落ちとしか思えない妙な機能が搭載されているのだけれども、本カメラも例外では無い。ボディ上面の黄色の小さいボタンは、そのシンボルから強制フラッシュボタンらしいのだが、フラッシュ発光禁止の為のボタンが見つからない。オートボーイ3の様に隠れているのかと散々探したけど見つからなかった。スナップ撮影では後者の方がより重要なのだけれども残念である。更に、その横には「B4」と記述のあるボタンがある。何だろうと思ったら、どうも4秒のバルブが可能らしいのである。これは花火か夜景を想定していて、フォーカスは無限遠で絞りは開放になるのだろうか?また、背面には「インターバル」と記述のあるボタンと「成長記録」と記述のあるボタンがある。「インターバル」はインターバル撮影が出来るのであろう。「成長記録」というのは全く判らないが、誕生日を設定するとメッセージでも写りこむのであろうか?(後に現在の年齢が映しこまれる事が判明)。これらはキヤノンミュージアムでも一切触れられていないの詳細は不明だ。ちなみに、オートボーイ3で採用していたティルト用の足が復活している。それから、ハーフ判に設定するとそれに見合ったサイズの日付を写しこむらしい。ううっ、やっぱり凄いカメラなのかも。
 いろいろと謎の多いカメラではあるが、極普通に使おうと思えば扱いやすい完成された2焦点カメラである。本カメラは各メーカからズームカメラが次々と登場していた次期に世に送り出された。拙僧もその頃のコンパクトズームカメラを幾つも持っているが、殆どのカメラは35mmから60mm辺りの2倍未満のズームレンズを搭載している。この位しか焦点距離に差がないとズームの存在意義は余り感じず、軽快な2焦点カメラには大いに利がある。大抵のズームレンズを搭載したコンパクトカメラは、広角側から望遠側へとズーミングするのにも、もっさりと時間が掛かるのだ。もっとも、本カメラはその多機能ゆえかいささか大柄なコンパクトカメラになってしまってはいる。どことなく、バブル期のスープラを思わるなあ。本カメラはキヤノンにとって最後の2焦点カメラでは無いが、最後の本気2焦点カメラなのではと拙僧は思う。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2005/11/21)

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