本カメラは初代オートボーイの次に発売された二代目のオートボーイである。しかし、本カメラの発売後にキヤノンからは改めてオートボーイ2が発売されている。本カメラは、40mmF1.9と言うこのジャンルのコンパクトカメラには稀な明るいレンズを搭載する。また、オートボーイ2には無いシャッター半押しによるAFロックの機能も搭載している。そこで、本カメラは初代オートボーイの後裔機ではなく、同一線上の高級モデルと言う事ができるだろう。ボディは初代オートボーイよりも小ぶりとなって大口径レンズの印象を一層引き立てるデザインとなっている。若干重くなり、ずしりとした印象だ。




特にペットネーム(オートボーイ)の表示は無い。

 本カメラのもっとも魅力的なポイントはF1.9と言う大口径レンズの搭載だ。拙僧も店頭でそのつぶらな瞳に参ってしまった。ジャンクとしてはやや高い金を払ってしまったような気がする。極最近になって富士フィルムからNATURAと言う24mmF1.9を搭載したAFコンパクトカメラが発売となるまで、F2を切るような明るいレンズを搭載しているAFコンパクトカメラは本カメラだけだった。AF化以前はF2を切る明るさのレンズを搭載したのコンパクトカメラ(レンズシャッターカメラ)は然程珍しい物ではなかった。それがAF化時代になって概ねF2.8〜F3.5の明るさのレンズを採用した原因の一つは、当時のAFの精度がフォーンフォーカスカメラ並の3〜4ステップであったからであろう。暗めのレンズの被写界深度で大まかなフォーカスを補う必要があったと思われる。
 今回の(今回も)試写では大した写真が撮れなかったので描写力云々はあまり触れないつもりなのだが、本カメラもAFの精度がレンズの性能を引き立て切れていないと言う印象が残る。具体的にはピントが甘いと言う事なのだが、これはカメラの癖を今一歩掴む事が可能である気がする。負け惜しみを言うとボケ味は滲むようにナチュラルで綺麗である。


大口径レンズの存在が目立つ。


感度は手動設定。鏡筒上部に表示窓がある。

 本カメラでは半押しでフォーカスロックが出来る。これは後のオートボーイ2でも省略されてしまった優れた機能だ。AFのセンサーは強化されているようだがあくまでも正確さはこの時代相応である。半押しの操作感覚は少々コツがいるようで難しい。シャッターボタン半押しでファインダ内にゾーンフォーカスマークを表示するのだが、たまに上手く表示せず(合焦しない?)、更にシャッターが切れない事もある。これは拙僧の個体が調子が悪いのかもしれないが、どうもこの現象は他の個体でも起こりえるようで、他のオーナーの方のHPでも似たような現象が報告されている。この辺り、プリミティブなAFユニットを搭載するオートボーイライトの方が素早く撮影できる。どうも、他メーカーが大口径レンズを搭載したAFコンパクトカメラの販売をためらった理由が判って来たような気がしますな。


電源ON/OFF、BC(バッテリーチェック)の切り替えダイアル。


グリップは適度な大きさで握りやすい。

 フィルムを使い切ると警告音が鳴る。ボディ下のボタン+スライドスイッチで巻き戻しを行うのだがフィルムの巻き込みが完了してもモーターが止まる訳ではないので巻き戻しの完了を音でチェックする必要がある。
 尚、拙僧の個体ではフラッシュのチャージ完了を示すライトが付かない。チャージそのものに結構時間が掛かる事もあってフラッシュ撮影は非常にやり辛い。まあ、この辺はジャンク物でであるから致し方ないだろう。

 総括すると、本カメラの魅力は搭載する大口径のレンズだが、そのレンズを使いこなそうとするとなかなか大変な事だと言える。これが本カメラのライバルや後裔機が出現しなかった要因であろう。しかし、そこに可能性があれば、それを使いこなしてこその趣味人である。理屈から言えば室内でノーフラッシュのポートレイト撮影だって可能な筈だ。果たして、そこに本当に宝が存在するのであろうか?

ではとりあえずの作例を見て頂きたい。

(2005/04/11)

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キヤノン AF35ML(オートボーイ・スーパー)


☆ジャンク度☆

フラッシュチャージランプ不良(フラッシュOK)
撮影可能
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