コニカ C35AF(ジャスピンコニカ)について


C35AF
言わずと知れたピンボケ撃破の革命児

☆ジャンク度☆
なし
撮影可能


C35AF C35AF
 これが噂のハウネルモジュール。
 フォーカスインディケーターは撮影後でないと分からない。

C35AF
 3群4枚のヘキサノン38mmF2.8を搭載。

C35AF C35AF
 C35EF(ピッカリコニカ)譲りのポップアップするフラッシュ。

C35AF
 電源は単三電池2本。ようやく露出計用のボタン電池から解放された。

C35AF
 今は亡き、純正のサクラフィルムの使用をアピール。

C35AF C35AF
 こんな立派なケースとキャップが付いてきた。

 意してプラカメ拾う者なしというブログを立ち上げさせ頂いている。これはジャンク駕籠に転がっている数百円(数十円の時もある)の価値の付けてもらえないプラカメ達に日を当てる目的で始めたものだ。勿論、本当は高いカメラが買えないから安いカメラで話題を稼ごうという魂胆である。ところが、拙僧の予想よりも早くフィルムカメラの価値の下落は激しく、今では金属製MF一眼レフだって小額紙幣でお釣りがくる場合もある。なので最近ではHPでもブログでもアーブスとかジェベル250XCとか宝珠の報告が相次ぎ、本来の主役である「いぬふぐり」の登場はサッパリである。もっとも、プラデジカメは頻繁に登場している。デジカメは適正な価格付けをすればインターネットでも捌けるから価値が付けられないというほどではない。現に、先日(2013年12月)も35万画素級のDimageVが、それなりに購入時と変わらない価格で旅立って行った。今は亡きミノルタの渾身の作であったが、5Vのスマートメディア専用という致命的な弱点を持つカメラだ。しかし、価値の分かる方はお求めになるのである。
 そういう意味でも今回取り上げるカメラは一片の曇りもない拙僧のHPの有資格者だ。なんといっても世界初の量産AFカメラであるから、プラカメ界の歴史的名機と言ってよい。「顔の大きさがファインダー内の丸印の大きさになればフォーカスがあっていますよ」、等という子供騙しではない。レリーズボタンを押下すれば、電子的なモジュールにより、カメラがモーターを駆動してフォーカシングしてピントを合わせるのだ。しかも、コニカはコンパクトカメラというジャンルでそれを成功させた。それまでのカメラは見えずらい二重像を目を細めて眺めるか、いっそのことファインダーに映った人物の大きさと鏡筒のアイコンのイメージが合うように手でヘリコイドを回していた。ゾーンフォーカスんなんては、実際のところも目測と大して変わらない。それがカメラが勝手に「ジャー」っとレンズを回してピントを合わせるのである。それが錬金術と言わずして何であろう。実に1977年の出来事だ。拙僧が小学校に上がるかどうかの時代である。
                     ☆                 ☆
 手に取ると案外チープで軽いので驚く。実際のところ、AFモジュールというのは当時としてはある程度確立していた技術のようだ。原始的なものは第二次世界大戦中に既に爆撃機とか火器管制システムとかに登載していた。問題は民生量産カメラのレベルに落とし込んだ場合に何かと不都合が多いということらしく、各メーカーともカメラに実装して発売するのは二の足を踏んでいた。その問題を解決したのがコニカだったのである。既にミノルタと合併し、カメラ・フィルムメーカーとしては過去になったコニカであるが、我が国で最も古くからフィルム・感材、およびレンズ・カメラの製造を行う老舗メーカーであった。しかし、拙僧が物心ついたころには既にフィルムと言えばグリーンカラーであったのは、フジフィルムがポジの開発や大規模な広告戦略を取ったことだけではなく、どうもコニカがラボに不信感を持たせるほどの大失態をやらかしたらしい。兎も角、コニカは独創性で売ることを余儀なくされる。フィルムメーカーの常として、高級路線よりはフィルム消費の促進となるベーシック層を睨む。この点についてはアグファにしろコダックにしろ事情は同じだ。そうなるとオートフォーカスは必然だ。既にAEで露出の安定化は解決していたし、フラッシュの搭載で照度の不足も補った。AF機構を除けば本 カメラの数値的な性能は平凡である。ベースがコニカC35EF(ピッカリコニカ)だから、シンプルな構成であるが、信頼性は高い。基本的なパッケージングはC35EFを踏襲しているのだが、外観上、エキゾチックなのは2つの窓を持ったAF機構とレンズ脇の「AF」の文字に添えられたドジョウが三匹滝登りをしているマークである。フジカにしろヤシカにしろ似たようなマークが描かれているが、これがハウネルのAFモジュールの証のようだ。今でいう「intel inside」であろうな。
 いわゆるフォーカス測距点は勿論中央1点である。フォーカスロックは無い。フロントパネルのレンズ脇のフォーカスインディケータがある。透明なアクリル版の下で針が動き、シャッターが切れた後には測距位置が分かる。シャッターが切れた後にフォーカスが外れた事が分かっても、デジカメと違って画像を消して再撮影ができるわけではない。意味がないではないかとお思いだろうが、当時はいろいろな都合があってその程度しかユーザーへのレスポンスは出来なかったのだ。これが大分ましになるのはニコンL35ピカイチオートボーイ2の登場を待たねばならない。レリーズを押下すると、「ジャー」というフォーカシングの音がしてシャッターが切れる。シャッターはプログラムAEで1/60・1/125・1/250の3つの速度から選択する。これもピッカリコニカ(後期)を踏襲している。電源は単三電池2本で露出計用ボタン電池からは開放された。但し、C35EFでファインダー内に用意したフォーカスインディケーターは省略している。フロントパネルにインディケーターを設置するより、ファインダー内の方が嬉しいが、何かと事情があったのだろう。撮られている方へのアピールなのかしら。
 困ったのは電池が切れるとAFもAEも動かなくなるのだが、ひとまずシャッターは切れしまうのだ。AFユニットも動いているような音がするので電池切れに気付かないで撮影を続けてしまうことになる。なので、撮影した後にインディケーターの針が、それなりの位置に動いていることを確認する必要があるな。
                      ☆           ☆
 本カメラはNHKが「プロジェクトX」で取り上げたから記憶にある方は多いだろう。ヒットの要因の一つは、ターゲットをコンパクトカメラに絞ったことだとされる。何せフォーカスステップは4つしかない。50mmF1.4のレンズを付けて、一眼レフカメラのファインダーで覗いたらフォーカシングが大体なのが分かってしまう。コンパクトカメラなら広角で絞り込めば写真らしいものは出来上がるのだ。
 肝心のAF機能はそれなりである。しかし、ギミックとしては楽しくもある。しかし、正直なところ、100円で転がっていても拾うのは躊躇するな。拙僧も何台かのセットで落札した中に入っていたものである。欲しかったのはヤシカエレクトロ35GXだった気がするな。
 あまり目くじらを立てても仕方ない。パーフェクトなカメラをお求めの方は、他に膨大な選択肢がある。若い連中は大雑把なピントも好むようだからロモグラフィーにでも加えて欲しいものだ。

   では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2013/12/10)

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