フジフィルム Bene(ベネ)


FujifilmBene
限りなく安普請なフジフィルム純正カメラ

☆ジャンク度☆
無し
撮影可能


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 恐らく樹脂製単玉レンズだと思われるがフジノンブランドを誇る。


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 固定焦点のフジノン35mmF9.5に単速1/100のシャッターを組み合わせる。


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 電池はフラッシュ専用。


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 フォーカスフリー(パンフォーカス)で1.2〜無限遠まで大体合う。
 スイートスポットは3mあたりか。


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 快適な巻き戻しクランクのギミック。


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 限りなくスッカラカンのカメラである。


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 ファインダーを覗いてシャッターを切る。
 あとはノブで巻き上げて面倒なギミックは一切なし。


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 レンズの湾曲収差をフィルムのカービングで吸収する原始的な対処。


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 恐らく日本製だと思うのだが記載はなし。


 本カメラの登場は1989年である。フィルムカメラの黄金時代と言っていいだろう。本カメラのコンセプトは明快で「フィルム交換のできる”写るんです”」である。「使い捨てカメラ」が縁起が悪いというので「レンズ付きフィルム」にネームチェンジしたのだが、それでも手元にカメラが残らないのは寂しいという需要があったのだろうな。翌年には2焦点切り替えの「The Bene(望遠ベネ)」が登場したらしい。なんだかやりたい放題って気がするけど、ちょっと見てみたいな。
 ボディシェルは完全に樹脂製。どこを眺めても殆ど金属的パーツは見当たらないが、重さは意外とある。案外、分解するとしっかりした構造になっているのかもしれないな。レンズはフジノン銘を与えており、恐らく樹脂製の単玉。物の資料に寄れば35mmF9.5らしい。これに1/100の単速シャッターを組み合わせる。勿論、機械式で電池を必要とするのはフラッシュだけだ。基本的にはISO100〜400のカラーネガを詰めてラチュード頼みで撮るカメラである。同じようなコンセプトのフジフィルムのカメラに「スマートショット」という安普請なカメラがあるのだが、こちらは1994年に登場だから、そういうニーズは相変わらず有ったのだろう。とにかく、情報源の少ないカメラだ。あまり、真面目にコンテンツを作りたくなるカメラではないよな。
 価格は4800円。意外と安くないなあというのが印象だ。1989年に既に存在したかわからないのだが、写真屋さん45で入会金3800円を払うと同様なスッカラカンなカメラをくれて、24枚撮りフィルムを現像毎に無料でくれるというサービスをしていた。一見、夢のような話だが、24枚撮りでDPEに出すと2000円くらいしたからフィルム代はタダみたいなものだったのだ。100円ショップでコダックの24枚撮りのISO200カラーネガが買えたしな。ちなみに写真屋さん45ブランドの45カメラ・スタンダードは28mmがついていた。今でも持っているので使ってみたいものである。製造はコニカのようだ。
 「スマートショット」はその後モーター化してフジフィルム伝統のDIL(ドロップ・イン・ローディング)になっている。フィルムの装填というのは我々が想像するよりも苦手な方にとってはハードルが高く、カメラメーカーは各社苦労している。もっとも、拙僧だって装填に失敗して肝心な撮影をパーにしてしまったことは数多い。本カメラは手動ノブ巻き上げだからDILという訳にはいかないが、フィルムの先端をスリットに差し込めば、爪がパーフォレーションに引っかかって簡単に巻き上げるように工夫してある。かえってモーター化した方が失敗しそうな程、簡素だが確実なギミックである。
                ☆           ☆
 写り具合は、こういうカメラにしては上等だろう。後年のスッカラカンなカメラは、モーター化さえしているのにどこにもピントが合っているようでどこにもピントが合っていないカメラも少なくなかった。もっとも、本カメラのようにフォーカスがあっている場所と湾曲等のダメな点がハッキリわかってしまうよりは、ぼんやりと何となく全体にフォーカスが合っているように見える方が良いという方もいらっしゃるだろう。本カメラの焦点は1.2m〜無限遠だが、スイートスポットは3m前後らしい。この位置に被写体があると真ん中はなかなかのキレ味だ。しかし、湾曲収差が激しく、フィルム室のカービングくらいでは吸収できないので歪みは大きい。こういうカメラなのだから、それも楽しみとして活かすが吉であろう。

 では、撮影結果(瀬戸市散歩編)をご覧頂きたい。

(了:2015/5/28)

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