オリンパス AF10TWINについて


AF10TWIN
二つ目マスクが80年代アニメメカ風でグロかっこいい

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


AF10TWIN AF10TWIN
一種のバリアブルデザイン、オリンパスで言うところのカプセルカメラになっている。


AF10TWIN AF10TWIN
もっさりとしたボディだが、当時はこれでもコンパクトカメラというジャンルだった。


AF10TWIN AF10TWIN
一時代を作った二焦点レンズ。
大抵のカメラはテレコンを噛ますだけだが、本カメラは2系列の光学系を持っている。


AF10TWIN AF10TWIN
フラッシュモードは電源OFFしなければ保持する。
1枚の撮影毎にリセットされてしまう面倒なカメラもフィルム時代には多かったのだ。


AF10TWIN AF10TWIN
無論、撮影は光学ファインダーで行う。


AF10TWIN
電源はCR123Aを2本使用する。


 レンズカバー一体型のカプセルボディ、XAシリーズでカメラ史に偉業を残したオリンパスだったが、好調だった故にAF時代に後れを取った。オリンパスの初めてのAFカメラは1981年に登場したC−AFである。世を震撼させたコニカC35AF(ジャスピンコニカ)に遅れること4年であり、モダンな全自動AFカメラの祖先となったキヤノンのオートボーイ初代より2年遅い。にも拘わらず、巻き上げは窮然としたレバー巻き上げであった。公式HPのオリンパスの歩みでは、セイコー社と共同開発した独自のフォーカシング方式と紹介しているが、素人目には少しカジュアルなスタイルのジャスピンコニカでしかない。1985年には28mmの広角レンズを搭載したMFコンパクトカメラとしてXA4が登場している。当時のAF機構の精度では、28mmのレンズでパンフォーカスの方が何倍も実用性が高いとオリンパスのディレクターは言いたかったのだろう。実際に、それはその通りでもあったが、自動化の波は他の機能と同様に瞬く間に進化し、それが営業的なイニシアチブにもなった。前後するが1983年にピカソのペットネームを冠したAFコンパクトカメラのAFLが登場する。不思議なことに「ピカソ」のネームはボディのどこにも刻まれていない。80年代くらい前のカメラはそういうことが多く、商売上手なキヤノンですらペットネームを軍幹部に刻む(ペイントだけど)のはオートボーイ2からである。C−AFに比べるとぐっとモダンなルックスになったが、レンズや測距部の位置が似たり寄ったりなので、案外中身は然程変わらないのかもしれない。AFLと若干の仕様変更のあったAFL−Sはレンズが日東光学製という噂を聞いて1ダースほど手に入れたのだが、まともに稼働した個体は1個も無かった。ここまでダメだと設計上の問題か特定の部品の寿命に致命的な問題があるのだろう。「ピカソ」の由来はフラッシュの「ピカッ」から来ていると思われる。リチウム電池を内蔵して飛躍的にフラッシュのチャージが短くなったのだ。その代わりに電池はCR123A相当の電池2個をはんだ付けしており、ユーザーには交換できない仕様になっている。流石に不評だったのかAFL−Sでは改善している。こういうユーザーを馬鹿だと思っているカメラは80年代初頭にはいくつかあり、フジフィルムのDL200やキヤノンのオートボーイ3のように電池が交換できないか、交換するには厄介な使用になっていた。
 本格的なAF時代に突入するとオリンパスの迷走が始まる。AFLの次に登場したのがAF−1でペットネームは「濡れてもピカソ」。つまり生活防水を採用した。何とか他社との差別化を図ったのだろう。着目点は悪くなかったと思うのだが、ルックスがダサすぎて同世代のライバルたちを抑えた魅力にはならなかったようだ。次に登場したのがAF−1TWIN。当時、流行った二焦点レンズカメラなのだが、飛んでいたのはレンズが縦に2個並んでいたのだ。大抵の二焦点カメラは望遠側で内蔵したテレコンを噛ませる方式だったが、光学系を2系列に分けたカメラは無かった。広角側と望遠側の切り替えは内蔵したミラーによって行い、言い方によっては二眼レフカメラである。ずんぐりしたボディは決して軽快に見えないが、インパクトはある。おまけに生活防水を継承している。この後、ぐっとボディを小型にしてカジュアルなスタイリングのAF−10が登場して、本ページの主役であるAF−10TWINが登場するのだが、本カメラはAF−10を二焦点化したのではなく、AF−1TWINの生活防水機能を省略した廉価機である。AF−10のカジュアル感は全くないのだが、それではあまりだとオリンパスも思ったのが、それまでブラック一色だったボディカラーがグレイになっている。安易な方法だが、若干軽快な印象を持たなくもない。これが1991年登場のカメラなのだから、いかにデジカメの時代になってスタイリングの精錬の速度が飛躍的に加速したのが分かる。
                        ☆             ☆
 特異な縦に2つ並んだレンズが全てのカメラなのだが、折角なので諸元も紹介しよう。2焦点レンズカメラは80年代から90年代前半に流行ったジャンルである。ズームレンズを搭載したコンパクトカメラは80年代にも登場していたが、コンパクトとは名ばかりで図体のデカい物となった。それでマスターレンズにテレコンを加えただけの2焦点レンズであれば光学系も簡素になり、ボディマスも抑えることが出来た。それに、コンパクトカメラのユーザーはズームの広角側と望遠側の両端しか使わないと、何かしらのデータバンクが立証していたのだろう。それでも、オートボーイ28WTのようにデカいカメラもあって、フィルム時代のユーザーはいかにボディマスに寛容だったのかが分かる。
 レンズは35mmF3.5と70mmF6.3の切り替え式である。上のレンズが望遠側のようだ。フォーカシングはどちらの焦点距離を選んでも2つとも同時に動作しているように見える。繰り出し量も工夫してギミックをシンプルにしていると思われる。その2つのレンズを覆う大型のレンズカバーをスライドして電源をONする。オリンパスがXAで確立したカプセル型ボディに比べるとデザイン的精錬度は低いが、アイデンティティの継承を感じなくはない。ズームレンズが繰り出すわけでもないので起動は待たされないのが二焦点レンズカメラの利点である。もっさりとしたルックスなのだが、レスポンスは素早い。リチウム電池を2本も使っているお蔭かフラッシュのチャージは素早く、一度チャージを完了すれば数枚撮影を継続できる。フラッシュモードは電源OFFで忘れてしまうが、電源ONが続く限りは保持するので、スナップ撮影で不要にフラッシュが光って困る場合は、電源をOFFしなければいいだろう。こんなことを長所としてイチイチ書かなければならないのは、レリーズごとにフラッシュモードをリセットして、毎回設定しなければならないカメラが存在するのだ。デジカメではないので待機電力の消耗は殆ど考えなくてよい。但し、動作音はかなり喧しいので、キャンデットフォトは難しい。
 勿論、デジカメではないので光学ファインダーでフレーミングを行う。気の利いた設計だと、レンズカバーが光学ファインダーも塞いで、電源のON/OFFを確認できるのだが、そこまで至っていない。ファインダーにはフレーム枠と中央1点の測距点の他に右側にフラッシュのイメージと「AF」の文字が浮かんでいる。これはその右側に置いたダイオード(ただのランプかもしれないが)の点灯でフラッシュのチャージ中、AFの合焦を意味するのだ。いずれも、ただの固定した表記である。
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 コンパクトカメラのAF化にイマイチ乗り切れなかったオリンパスは、レンズ交換式一眼レフではっ撤退してしまった。以降はLシリーズで一ジャンルを形成しるものの、メジャーな地位をキープしたとは言い難い。オリンパスの歩みでは、かいつまんだ機種しか形成していないが、実際にロワーモデルを中心に幅広い機種を乱出した。トリップ銘など典型的で、そもそもはライカ判フルサイズのペンEEという真面目な廉価カメラとして登場したのだが、簡便なAFコンパクトカメラに襲名し、結局、単速・固定焦点のトイカメレベルの簡素カメラにまで与えてしまう。流石にXAとかペンの名の襲名には慎重になったようで、デジペンのヒットは皆様のご存じの通りだ。
 そのオリンパスの歩みを見ると。「全自動ズームカメラ」のカテゴリーの、IZM200の文言の文頭が「自社開発初となるズームコンパクト機」と始まるのだが、それではそれ以前に登場したAZ−1とかIZM300は自社開発ではなかったのかが気になる。あえて書くということは書き手に何かしらの思惑があると思うのだが。
 その辺りは追々掘り下げるとして、本カメラのコンテンツはここで締めくくりたい。

   では、撮影結果を見て下さい。

(了:2011/11/25)

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