ボルタ判フィルムを使おうについて


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右がボルタ判フィルムのスプールで左がライカ判フィルムのスプール。
丈が結構違うので、スプールの自作は難しそうだ。


 拙僧も厄介な性癖でノーマルな刺激では物足りなくなってしまう。まったく、40(歳)にも近づいているのに、今だに峠の下りでは2stのCRM250の方が速いと思い込んで、マークXを追い抜かしたりする姿などは青年期には想像もしなかった。残念な次第だ。もっとも、国際結婚に適正なのもそういうのと同じなのかもしれないな。それなら、拙僧にしてはラッキーな星の下に生まれたのだろう。普通の日本人女性が妻だったら、仕事もロクにせずに、カメラ・レンズが3グロスも転がっていたら離婚だろう(?)。
 この10年でフィルム環境は縮小の一方だが、例外的に環境がよくなったのがベスト判フィルムである。以前はクロアチアのefkeのモノクロフィルムしか選択しは無かったが、今ではカラーネガやクロス現像用フィルムまで流通している。無論、キタムラの店頭で手に入るものではないが、ネット通販も以前とは比較にならない程、安心して利用できるから、これは福音である。但し、フィルム代はかなり高くつくのでおいそれと消費できるものではない。カメラだって、拙僧の海岸に流れ着くのは何十年もタンスの奥に忘れられた代物だから、レンズもシャッターもそれなりにくたびれて、現像したらガッカリするのは珍しいことではない。それでも、フィルムが入手できるのとできないのでは大違いだ。これがディスクフィルムとかインスタマチックだと、まず撮影は不可能だから魅力的な価格帯でカメラが転がっても、拾い上げることは無い。ボルタ判とかバンタム判なら、運よく現像前のフィルムが残っていたり、未使用のフィルムが手に入れば、ライカ判フィルムを巻きなおして撮影できなくはないが、普通は面倒くさくてできないだろう。ボルタ判カメラを2つ拾い上げたのも、本気で撮影しようと思ったわけではなく、単純に捨て値(250円)で立派なケースが付いていたので、観賞用に拾ったのだ。しかし、外観は経年の割に綺麗だし。シャッターもちゃんと切れるとなると、使ってみたくなる。
 ボルタ判フィルムは、ライカ判と同じ大きさのフィルムを裏紙で巻いたものである。拙僧も実物を見たことが無いのだが、見てくれはミニチュアサイズの120判である。裏紙にはボルタ判フルサイズと24x24mmのスクエアサイズに対応するカウント番号を印刷しており、大抵のボルタ判カメラはカメラ背面の赤窓を確認しながら巻き上げる。もしかしたら、オートマットのボルタ判カメラというのもあるのかもしれないが、大抵のボルタ判カメラは単玉・単速・固定焦点のプリミティブなトイレベルのカメラである。フィルムサイズはライカ判と同じなのだから、スプールと裏紙があれば巻き替えればよい。そのうちボルタ判フィルムのジャンクでも見つかればよいと思っていたのだが、なかなか探しがいのある仕事になりそうだった。ふと、思ったのが、要は遮光さえできればよいのだから、120判フィルムをカットして、裏に適当にカウント番号を手書きで書き込めばよいのではないか。丁度、カッターを入手してあるので都合がよい。基本的にはライカ判と同じフォーマットサイズなのだから、左右の位置決めの見当を付けるのは可能である。上下の位置決めは手持ちのカメラの赤窓で見えればよい。コンテンツでボルタ判フィルムを見ると、上から3つの番号がふってあり、上下がフルサイズに相当し、真ん中が24x24mmに相当するようだ。手持ちのカメラは同じフルサイズながら、赤窓の位置が上下と異なるので両方を記述すれば良さそうだ。ひとまず24x24mmサイズのカメラは手元に無いので省略する。


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念の為にフィルム幅を測る。
未調整でライカ判フィルムが使用できそうだ。

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 120判フィルムをボルタ判フィルムに合うようにカットする。

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 カットした裏紙がスプールに収まるかチェック。

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 ライカ判フィルムの先端を裏紙に張り付ける。
 以降、ダークボックス内にてフィルムを巻き取る。


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 カメラに装填してチェック。
 当初は視認性が高くなるのではと黄色いマスキングテープに番号を書いたのだが、効果が無いので以降はやめている。

 手順は以下の通りである。

(1)120判フィルム裏紙をカットする。縦24mm、長さ50cm位。
(2)裏紙のフィルム側に巻き替えるライカ判フィルムの先頭として、マスキングテープの切れ端を貼る。
(3)裏紙のフィルム側に巻き替えるライカ判フィルムの終端として、マスキングテープの切れ端を貼る。
(4)裏紙の背面にカウント番号を書き込む。縦の位置決めは手持ちのボディの赤窓の位置で見当をつける。横の位置決めは手持ちのライカ判ネガフィルムを参考に見当をつける。
(5)マスキングテープに巻き替えるライカ判フィルムの先端を張り付ける。
(6)終端を示すマスキングテープの切れ端が表れるまでライカ判フィルムを巻く。
(7)ライカ判フィルムを終端まで巻いたらカットする。終端を意味するマスキングテープは、ダークボックス内で手探りで終端を判定するために貼りつけたものであり、終端は裏紙に固定しない。
(8)一度、裏紙を完全にスプールに巻く。
(9)もう一方のスプールを用意し、先ほど巻いたフィルムを巻き替える。この時、フィルムベースの終端は固定していないため、裏紙から外れてしまわないように注意。
(10)完全に巻き替えが終われば完了。
 
 面倒なのはダークボックス内での作業であろう。拙僧はモノクロフィルムしか想定していないが、店でカラー現像したい場合は更にライカ判フィルムのパトローネに詰め替えて出すらしい。店の方には一言添えたほうがイイだろう。
 拙僧は知らずに作業を始めたので12枚撮りの裏紙を作ったのだが、本来はボルタ判フィルムはフルサイズで10枚までしか撮れないようだ。12枚撮りで裏紙とフィルムを巻き込むと、スプールのツバの幅の限界ギリギリになるので、欲張らないのをお勧めする。

 アニー10による撮影結果もご覧頂きたい。

(了:2011/10/25)

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