シグマ SA−7


SA-7
レアなシグマ製フィルム一眼レフカメラ

☆ジャンク度☆
ファインダーがアンパーがかっている
撮影可能


SA-7
 こんなソフトケースがついていたが、実用性は薄い。

SA-7 SA-7
 軍艦部には「SIGMA」の輝かしいロゴが。

SA-7 SA-7
 グリップは効果あり。

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 レンズは純正の28〜70mmF2.8〜4を搭載。
 脱着ボタンはKマウントと同じ場所。

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 純正ズームレンズは、これだけ伸長する。

SA-7
 割とガッチリとしたボディラインである。

SA-7 SA-7
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 操作系はオーソドックス。

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 ファインダーが着色しちゃうのは、本カメラの定番トラブルらしい。

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 シャッターもオーソドックスな縦走り金属羽シャッター。

SA-7
 独自のSAマウントはKマウントから派生している。
 残念ながら互換性はない。

 拙僧がカメラ民族として自覚をした頃。つまり、90年代半ばにおいてはシグマはトキナーやタムロンと同様、レンズメーカーであった。新宿の量販店でベーシックスラスの一眼レフボディにWズームレンズがついて5万円代とか、そんな時代だった。そういうキットに付いているレンズがシグマだったのだ。無論、シグマだから写りはダメだという事でもない。拙僧は50mmF2.8マクロとか500mmF7.2とか持っていたが、光線状態が良ければシャープで満足な結果を得ることが出来た。しかし、逆光には弱かった。これは多くの方がコンテンツで指摘している。そんな安レンズメーカーのシグマが、21世紀に至ってAF一眼レフボディを発売するというのは意外なニュースであった。デジタル一眼レフカメラではない。フィルムの一眼レフカメラである。発売となったのは2001年の6月だ。1999年にニコンD1が登場し、2001年にはパワーアップしたニコンD1Xが登場している。60万弱と言う価格帯は、当時の一眼レフデジカメとしては現実的に購入できるとして画期的だった。しかし、勿論、生計を立てるプロでも簡単に手が出せる価格帯ではなく、コンシューマ層で手が届く一眼レフデジカメは、せいぜいレンズ一体型のオリンパスのE−10だった。しかし、既にコンパクトカメラの分野ではフィルムカメラの代用品としてコンパクトデジカメは市場に浸透していた。時間の長短の予測は難しかったが、何れ一眼レフのデジカメ化は大筋で予測できた。何故、今更シグマが自社ブランドでフィルム一眼レフカメラを投入するのかは不思議だったし、もっと不思議だったのはその購買層だった。拙僧のぼやけた記憶では、確かに新宿の量販店が本カメラと上級機のSA−9を展示・販売しているのを見かけた記憶があるが、やはり不思議なオーラを漂わせているだけだった。一説によると通販でWズーム付きで29800円で売っていたらしい。確かに、当時からすればAF一眼レフカメラとしては破格値だが、皆さんは20万円安くても現代や起亜の自動車を買うだろうか。拙僧だったら、もっと安いトヨタの中古車を買う。
 実はシグマ製の一眼レフカメラは21世紀に突然現れたのではない。古くは1961年にプラクチカマウントのマークTを発売している。その後、70年代にはKマウントのSA−1が登場する。しかし、これらは自社製というよりはどこかしらのメーカーとのコラボレーションにて行ったようである。シグマの公式HPによれば、シグマが一から自社開発した初めての一眼レフカメラは1993年に登場したSA−300である。恐らく、この時にKマウントから独立したSAマウントが誕生したと思われる。この、SAマウントは勿論、世界でシグマしか採用していない孤島のマウントなのだが、ベースはKマウントである。しかし、Kマウントのレンズが使えるかというとそうではない。SAマウントはEFマウントのように絞り機構もAFもレンズ内モーターで行っており、Kマウントのレンズは無理やりつけたとしても絞りが動かない。理屈で言うと、ペンタックスのKマウントアダプターを使えば、プラクチカマウントのレンズは使用できそうなものだが、それは試したことが無いな。現在のFoveonセンサーで気を吐く、SDシリーズはSAマウントを継承している筈である。断言できないのは、SDユーザーの方でもフィルムのSAシリーズのレンズをワザワザ使う方のコンテンツが見つからなかったのだ。
 本カメラやSA−9の購入層というのは全くわからない。勿論、価格の安さが挙げられようが、マウントがSAマウントなのである。当然、交換レンズは新品を買わなければならないし、レンジだってシグマの用意するレンジは純正レンズのカバーしないニッチな物か安物なのである。現在のニコンやキヤノンのレンズと肩を並べて気を吐く50mmF1.4等は無かった時代なのだ。SAマウントの中古レンズなど存在しないから、交換レンズを揃えようと思ったら高くつくし、リセールバリューなど皆無である。もしかしたら、地方紙の全面広告やTV通販で捨て値で売っていたのだろうか。拙僧は、APSの敗北が決定した頃にTV通販でベクティスS−1を売っているのを見て、つくづく通販とは怖い物だと思った。
                ☆           ☆
 都市伝説はそのくらいにして、本カメラをちゃんと手に取ってみよう。とにもかくにも、拙僧は本カメラを買ってしまったのだ。純正の28〜70mmF2.8〜4が付いて2980円だった。別に安いとは思わなかった。シグマの28〜70mmF2.8〜4が良い仕事をするのは知っていたが、既にニコンFマウントやキヤノンEFマウントで同じレンズを持っていたのだから、知っている筈である。そういう意味では、レンズの描写に魅かれたという理由は全くない。
 外観は筋肉質であり、ほどほどの質感を保っていてキヤノンのEOS100などに比べてもしっかり作ってあるように感じる。持った感じは意外と軽いので拍子抜けるが、それはそれで不足はない。本カメラがスイーティなのはシャッター速度ダイヤルがMZ−3のように独立している点である。こういうカメラは同クラスには存在しないから、それだけでも福音と言えよう。本カメラは基本的にファンクションとジョグダイヤルの組み合わせではなく、可視性の高いダイヤルベースの操作を基本としているのに好感を持つ。反面、測距点は中央1点と簡素である。それはそれで結構なのだが、困ったことにAFが遅く、不正確である。これはちょっと困ったものだ。モダンなシグマDP−1も、撮影画像は素晴らしく美しいが、AFはちょっと実用にならないほど遅く、目測で撮影していいる。AFのような機能はボディ開発の蓄積が必要なのだろうか。モダンなSD−14やSD−15もこの程度だと困るなあ。
 拙僧が本カメラのファインダーを初めて覗いた時には驚いた。何しろファインダーがアンパーがかっているのである。これはジャンクと言っていいレベルだ。どうも、SA−7の持病らしく、そうでなくても少ないSA−7を扱ったコンテンツでも、同様の指摘を記載している。なのでそういう仕様なのだろう。拙僧も気になったが、ドイツや中国のカメラも青みがかっているものが多いので気にしないことにした。しかし、シグマにはもうちょっと考えてほしモノだな。
                ☆           ☆
 Foveonセンサーの初期モデルは本カメラをベースとしたようだ。そう考えると、シグマもフィルムカメラを開発することで、来たるべきデジ一眼レフの時代に布石を打ったのかもしれない。しかし、この程度のAFで当時は高根の花だったデジ一眼を購入した方は気の毒である。もっとも、SDシリーズの使い勝手の悪さは知られるところではあり、オーナーにとっては、それも多少キュートに扱われているようだ。
 本カメラの出没度は稀だが、プレミアムな物ではない。もし、見慣れたブランドのカメラは飽きていて、3000円程度なら夢として捻出できる方は挑戦していただきたい。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2012/11/7)

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