メイヤー Oreston(オレストン)50mmF1.8


Oreston50mmF18
19世紀に興った老舗ブランドのレンズ。

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能

Oreston50mmF18 Oreston50mmF18
ゼブラカラーがカッコいい。
33cmまで寄れる使い害のあるレンズである。

 メイヤー(マイヤー)は19世紀末に興った老舗の光学機器メーカーである。戦前にはツアイスと覇権を争ったほどに成功したメーカーで、実際、ネットオークションでしばしば登場する乾板カメラが搭載しているのを見ることも多い。運が悪かったのはツアイスと同様、戦後は東側圏に下ってしまったことだ。他の多くのメーカーと同様に解体され、VEBゲルリッツ精密工場として再編成されたが、やはり1968年にペンタコン人民公社に統合されてしまう。オレストン50mmF1.8は1960〜1970年にかけて生産されたようで、ぎりぎり自社のブランドを保っている。ペンタコン人民公社以降のペンタコン50mmF1.8はオレストン50mmF1.8の影響を受けているとされているが、確定した情報源は見つからなかった。コメコン圏にはテッサー50mmF2.8もあるから、ペンタコン50mmF1.8は高級路線と言えよう。
 本レンズはゼブラ模様の美しいスタイリングが目を引く。オレストン50mmF1.8にはゼブラ模様を押さえて、外観がタクマーに似たものものある。拙僧も1つ持っているが、それはゼニット12XPに付いていたものだ。価格は2000〜3000円程度だったと記憶しているが、勿論、欲しかったのはオレストンであり、ゼニットは動けばラッキー位にしか認識していなかった。場所は新宿のBOXである。BOXにしろ市場にしろ、ソビエト物の評価は低いので安く転がっている。本レンズは名古屋の食わせ物の中古カメラ屋「赤ガエル」で拾ったものだ。価格は2000円前後である。外観はヘタレがあるが光学的には申し分のない個体だ。ネットで調べると5000〜6000円が相場のようで、要は名古屋の店には目利きが無いのだろう。この店は委託品は必ず壊れていて、それ以外もどこかに問題があり、相場も東京と比べてかなり高い。なので3000円を超える物件は見向きもしないのだが、よく見ると稀に掘り出し物があるので油断が出来ない。ちなみに、その店ではペンタコン50mmF1.8も2000円前後で拾っている。
 我が国でメイヤーというと、「東ドイツのタクマー」とされている(らしい)。これが名誉な評価なのかは微妙な所だが、拙僧にとっては好感触である。良く知られるのはエクサなどについているドミプランだ。これのプラスチック鏡筒の物は、びっくりするようほど安普請な作りで、拙僧の個体も銘板が行方不明になってしまった。3枚玉のトリプレット型でプリミティブな楽しさを持つレンズである。本レンズは6枚玉のようで、恐らくガウス型であろう。注目すべきは最短撮影距離が33cmなのである。これは殆どマクロレンズだ。拙僧は本稿執筆まで気づかなかった。これからは積極的に近接撮影も楽しみたいものだ。
 拙僧の稚拙な目では判断しかねるが、描写についてもちょっとだけ触れたいと思う。コンテンツによってはシャープと称されているが、本レンズは現在のシャープネス・高コントラストとは縁のないレンズである。むしろ、白い被写体ではレンズフレアが発生する傾向にある。しかし、拙僧の自説ではシャープでないレンズは諧調が軟らかく、モノクロ映えすると思っている。本レンズもその傾向があるように見える。カラーで色ノリがこってりするというレポートも見つけたのだが、拙僧はモノクロしか撮っていないので分からない。
               ☆           ☆
 一部では駄メイヤーなどと称されている。確かに、本レンズはどんなシチュエーションでも一定の描写を保証するレンズではない。しかし、それも使い様だろう。大体、そういうコンテンツは複数のレンズをデジ一眼レフにつけて同じ被写体で比較する様なツマラナイコンテンツである。
 実際、被写体に十分な光が当たっていないと焼きづらいネガになるのだが、被写体の魅力に肉薄した写真なら何の問題も無い。もっとも、そういう被写体に恵まれる機会は拙僧も多くは無いのだが。
 しかし、そういう被写体に恵まれた時にも、あえて出したいレンズでもある。

 撮影結果(七夕編)も見て頂きたい。
 



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