コンパクトカメラ:オリンパス ワイド


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ワイドカメラのムーブメントを作った本家

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


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左右対称に近いスタイリングがキュートである。


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 35mmという広角レンズを搭載したカメラのパイオニア。


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 ノブ式の巻き戻しは根気が必要だ。


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 裏蓋を開けるとビハインドシャッターが目立つ。

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 オーソドックスな後ろ姿。

 本カメラの登場は1955年である。オリンパスの公式HPによると、当時のオリンパスはオリンパスシックスやオリンパスフレックスが好調であったものの、ライカ判カメラの需要も予測しており、主力モデルのライカ判化が急がれたようである。それで登場したのがオリンパス35Sなのだが、これのボディを基本に35mmという広角レンズを組み合わせたのが本カメラである。現在の感覚ではピンとこないが、35mmの広角レンズを搭載したカメラは画期的であった。イルフォードのアボドケイドもあるが、マスで成功したのはオリンパスが最初であろう。当時のレンズシャッター機の焦点距離は40〜50mmであり、一眼レフだと標準レンズが55mmとか58mmも普通だった。当時、幸運にも一眼レフやライカタイプのレンズ交換機を手に入れたとしても、実際に交換レンズを購入するには厳しい時代だった。そこに、初めから広角レンズを搭載したカメラが登場したから、ユーザーには大いに評価を受け、業界も震撼した。よって、後にミノルタワイドとかワルツワイドとかライバルが登場する。

                ☆           ☆

 まず、外観を眺めてみよう。基本的にはシンメトリーになっており、シンプルなたたずまいに好感が持てる。もっとも、ノブ式巻き上げは兎も角、ノブ式の巻き戻しはかなり根気がいる作業になるな。この点は後裔機で早々に改善する。オリンパス35Sは距離計を搭載していたが、本カメラは距離計は非搭載である。35mmの被写界深度からして距離計は不要と判断したのだろう。それでコストダウンが実現したのであれば結構な話だ。そういう点では、フィルムカウンターもオートリセットではない。オリンパス35Sはオートリセットだから、その点もコストダウンを図ったのだろう。本カメラのニーズとして、標準レンズを付けた一眼レフカメラなりのサブカメラとしての需要が考えられたから、コストはなるべく下げたかったに違いない。軍幹部には透過ファインダーと白い不透明マスクが目立つが、ファインダーにはブライトフレームを表示し、不透明マスクは明かりを取り込む。
 レンズはD.ズイコーの35mmF3.5である。4枚玉であるから、恐らくテッサー型である。D.ズイコーは旧マミヤシックス等も採用した由緒のある物だ。無論、評判は良い。鏡筒は先端から絞り、フォーカス、シャッタースピードの順になる。拙僧の手持ちのカメラは前玉回転式でフォーカスノブが先端に位置するものが多いから少々迷うが、モノクロネガを詰めて気軽に撮るカメラなのでさして気にはならない。シャッターは最速1/300である。いわゆる倍数系列にはなっていない。1/100の次がいきなり1/300なのは気になるが、既に半世紀が経過したカメラだからシャッター速度の精度など目くじらを立てる程ではないだろう。後裔機では最速が1/500まで伸びている。

                ☆           ☆

 本カメラはプリミティブなメカニズムで構成しているので、巻き上げやシャッターといった動作面では問題は少ない様だ。しかし、レンズは汚れやすいようで、拙僧の複数の個体は後玉のコーティングが剥がれている。拙僧のようにモノクロネガで撮る分には大きな問題にはならないだろう。もしも、ポジを詰めてコンクールに出品するような写真を撮りたい方は、別のカメラをお勧めする。
 拙僧は本カメラのシンプルな顔立ちが気に入っており、派生モデルも含めて数台を所有している。但し、金属製全開のカメラだから少々重く、稼働率が低いのが難点ではある。普通の中古としてなら5000円前後で売っているカメラなので、あえて危険を冒してまでネットオークションに賭けるのもお勧めしないが、あればケース付きで1000円と言ったところだろう。テッサーらしいしゃんとした写りが楽しめる筈なのだが、フィルムの現像に失敗してしまい、本来の性能をまだ味わっていない。しかし、楽しみの大きいカメラだ。

 では、撮影結果(田原祭り編)を見て頂きたい。

(了:2012/10/12)

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