オリンパス L−3


L-3
オリンパスのレンズ一体型一眼レフカメラの頂点

☆ジャンク度☆
無し
撮影可能


L-3 L-3
 写りは素晴らしいのだが、重くて嵩張るのが難点。



 オリンパスのLシリーズを拙僧は駆逐戦車と重ねてしまうのだ。旋回砲塔を持たない代わりに打撃力のある対戦車砲を搭載し、生産工程を簡素化させて廉価にする。オリンパスはOM707でレンズ交換式AF一眼レフカメラとしては敗退してしまう。その後もMF一眼レフカメラのOMシリーズは生産し続けたが、将来的に発展するであろうAF一眼レフカメラへの橋頭堡は完全に崩れ去ったのだ。その代わりにオリンパスが選択したのは、レンズ一体型一眼レフというジャンルだった。そもそも、オリンパスの有名技術者の方は「AFカメラなんか使う素人にはMF機能なんかいらいない」と、OM707は手動でMFが出来ず、渋々つけた電動のパワーフォーカスでしかMFができなかった。なので、素人が使うAFカメラにはレンズ交換など不必要という事だったのだろう。
 そういう有名技術者の方の決めつけが案外正しかったのか、Lシリーズは軽くヒットした。チノンのスーパージェネシスもそうなのだが、どちらかというとこの種のブリッジカメラは海外で受けがイイ。現在でもデジカメの高倍率ズームEVF機はカメラ売り場では端っこの方に追いやられているが、海外では誇らしく携帯なさっている方をよく見る。ソニーのミラーレスなどを使っているのはアジアの方だな。そんなオリンパスのLシリーズの頂点であるヤークトティーガーが本カメラだ。Lシリーズとしては後裔機にL−5が存在するが、これは廉価版LシリーズのL二桁シリーズの高級版と言ったところで本カメラのボリュームと存在感の延長上ではない。それでも2002年の登場だというからフィルムカメラとしてはアッパレなポジションである。ヤークトパンターと言ったら褒め過ぎか。
 本カメラの登場は1992年である。新世紀の2001年まで生産を継続していたというから、この種としては長寿のカメラである。同時期にはキヤノンから画期的な安一眼レフカメラとしてEOS1000が登場している。定価ベースで本カメラが90000円でEOS1000が35〜80mmF4〜5.6付きで72000円である。実売は結構違うので参考にするのは難しいが、ちょっと本カメラに割高感を感じてしまうな。しかし、本カメラの搭載するレンズはかなり素晴らしい。EOSの安ズームなんかと比べられてはオリンパスの技術者も不本意だろうな。
                ☆           ☆
 本カメラの最大の特長は強力な打撃力を誇る35〜180mmF4.5〜5.6のズームレンズである。この種のカメラの望遠側が180mmF5.6というのはちょっと凄い。素晴らしい描写と引き換えに、大柄で重いカメラになってしまい、気軽に持ち運ぶブリッジカメラの利点が無くなってしまったのだが、撮影結果を見ると納得してしまう。拙僧は本カメラでモノクロフィルムは通していない。カラーが美しいからだ。
 兎に角、重いカメラで電池を含めると1kgくらいある。ちなみに廉価シリーズのL−10が電池別で620gである。これだけでもオリンパスの気合を感じるが、拙僧には持て余し気味で稼働率は低かった。大型のモノクロ液晶パネルの付いた電池蓋は分厚く、ヒンジで開けるとなんだか中判カメラを弄っている気分になる。鏡筒は長大で真ん中辺りにズーミングシーソースイッチが付いている。自然に左手は鏡筒を支える形になるので、この重いボディを構えるには適切な姿勢になるのだ。この辺りのスタイリングはよく考えられていて感心するな。一応、パワーフォーカスも出来るが、凄くめんどくさいし実際に使う方は稀だろう。露出モードはマルチAEを登載。なんでもオリンパスのフィルムカメラでシャッター速度優先AEを搭載しているのは本カメラだけだそうだ。L−5は知らないど、なんだか本当にそうな気がするな。
 フィルムカメラだから起動は迅速。AFのスピードはそれなりだが、精度はなかなかのものである。無論、AEも満足でオリンパスらしく中央重点平均測光の他、スポット測光とESP測光が選択できる。ガイドナンバー28のフラッシュを内蔵して戦場では無敵のカメラだ。但し、機動力に問題があるが。
                ☆           ☆
 レンズ交換式一眼レフ発展への道を閉ざされたオリンパスの技術者の執念を感じるカメラである。たしかに写りは素晴らしいがかなり重いカメラで、この種のカメラで求められる気軽さをスポイルしてしまった。他社とは違ったオリンパスらしいバブルなカメラである。
 拙僧も、その優秀なレンズを惜しみながらも2台あった個体を全て処分してしまった。

 では、撮影結果(秩父散歩編)を見て頂きたい。

(了:2015/4/14)

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