ニコン シリーズE 75〜150mmF3.5


E75_150mmF35
廉価らしからぬ実力派。

☆ジャンク度☆
直進式ズーミング軽い
撮影可能

E75_150mmF35 E75_150mmF35
F値の変わらず使いやすい望遠ズームレンズ。

E75_150mmF35 E75_150mmF35
ニッコールは与えられなかったが、質感に見劣り無し。

 本レンズについて語る前にニコンEMについて触れなければならない。1976年にキヤノンAE−1が、画期的な合理化と自動化で価格的にもユーザースキル的にも、コンシューマーの一眼レフへのハードルを一気に下げてしまった。簡単に言うと、楽に使える安い一眼レフの登場である。この一眼レフの大衆化は激しく進み、70年代の後半には絞り優先AEのみの廉価一眼レフというジャンルうを形成するに至った。キヤノンならAV−1、ペンタックスならMV1、ミノルタならあの有名すぎるCMのミノルタX−7である。この時流に保守派のニコンも乗らざるを得なかった。主に海外からの要望が強かったともされる。そこでニコンの絞り優先AE機の廉価モデル、ニコンEMの登場となる。ニコンと言えばF一桁モデルを頂点とし、姉妹機にもFの名を冠すのが慣例であった。勿論、電子シャッター搭載モデルの潮流はニコマートELから始まるのだが、電子シャッター機としては既にFの名を冠したニコンFEが登場している。やはり、ニコンとしては廉価モデルにFの名を冠するのを良しとしなかったのであろう。カワサキのEX−4がZの名を冠せなかったのと同様のしだいだ。もっとも、EMの後裔機はFGとFを関してしまうのだが、これも二気筒のZZR250がZを与えられたのと同様、営業的な大人の事情があったのだろうな。
 ニコンはレンズもシリーズEと呼ばれるニッコールの名を外した廉価シリーズを展開している。今ではニッコールも本気でシグマと比べられる一ブランドに過ぎないが、かつてのニッコールはプレミアムであり伝説を背負っていた。勿論、そんな時代は拙僧はリアルに知っているわけではないのだが、朝鮮戦争でのダンカンさんのニッコールの発見は、後に日本製光学機器の躍進の足掛かりとなった。それはカメラではなくレンズから始まったのも興味深い。そのシリーズEだが、プラスチック製外装を採用し、生産時の調整を極力少なくデザインするなど、それまでのニッコールレンズと比べコストダウンと合理化を図った。一方で、軽量なニコンEMにマッチするように軽くコンパクトをポリシーとしている。世間的には「描写力は妥協した」ということなのだろうが、何せニコンの看板を背負ったレンズだから、そのパワーは劣ることなく今での多くのファンが支えている。35mmF2.5や100mmF2.8などの単焦点レンズはネットオークションでも、すぐさまイイ価格帯になってしまうのだ。そんな、シリーズEで入手し易いレンズはズームレンズの36〜72mmF3.5と、本レンズの75〜150mmF3.5である。拙僧の個体は、かなり昔にフジヤカメラのジャンク館で2000円程度で拾ったものだ。光学系は申し分なかったが直進式のズーミングがスカスカで軽すぎるのが惜しい。幾つかの個体を見たが、皆同様なのでそういうレンズなのだろう。撮影に大した問題ではない。
 75〜150mmの2倍ズームと抑え目な焦点域のお蔭か、軽く取り回しが良い。135mmF3.5クラスのレンズでもっと大柄なレンズは沢山ある。嬉しいのはF3.5通しと明るいことだ。ニッパチズームが当たり前の現在では大した明るさではないと思うかもしれないが、遥かに大柄になるし価格も高くなる。拙僧が多用する135mmF3.5クラスのレンズと比べても、望遠側は150mmF3.5になるのだから充分明るい。ポートレイト撮影にも堪える。その描写は多くの方が評価している。良く売れたレンズであり、中古市場でも頻繁に見かける。価格は高くても3000円であろうから、現在において非常にコストパフォーマンスは高い。例えば、他社レンズではフレアがかる様な逆光撮影においても、本レンズはしっかりした描写をする。もちろん、フードは付けない。コーティングがしっかりしているのだろう。
               ☆           ☆
 通説によれば、ニコンEMはニコン初の樹脂製ボディを採用するなど、コストダウンを図ったのだが、思ったより製造にお金がかかり、売れ行きの割に儲からなかったようだ。後裔機のFGやFG−20に至って、確かに安普請な感を感じることが出来る。シリーズEレンズもFG−20の終了と共に役目を終えている。しかし、多くの方々がそのパフォーマンスを評価しているのは、多数のHPで紹介していることでも判る。
 滅多にズームレンズを投入しない拙僧だが、本レンズはこれからも多用したいと考えている。

 撮影結果(挙母祭り編)をご覧いただきたい。
 



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