☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能
EOSキスと対になった廉価一眼レフであるαスイート。
民生カメラメーカーとしてミノルタブランドが消えてから大分経つ。
操作性は上級カメラに比べて遜色ない。
大型グリップが一眼レフカメラの黄金時代を象徴する。
操作系はキヤノンに比べると抽象化が特徴である。
操作系は拙僧もイマイチわかっていない点が多い。
光学ファインダーを覗くと言うだけでアンティークとなりつつある。
不意にパノラマモードに切り替わっていると泣きたくなるものだった。
樹脂製マウントの不備はあまり聞いたことが無い。
シャッター幕の不良が無いのがEOSとの違い。
電源はCR2x2。
本来、このクラスのレンズが相応である。
ミノルタは伝説のα7000の大成功で圧倒的なアドバンテージを確保したものの、屈辱的なハウネル裁判の敗訴により、勝利もシェアも失ってしまう。その悔しさから、その以後になって冷静さを失ってしまったようだ。自信に満ち溢れていたα7700iとは打って変って、妙な小手先のゴマカシのような技術にシフトしてまう。α7xiを中心としたシリーズでは勝手にズーミングするし、操作系デザインのポリシーは不明確だし、カメラとして何を目指しているのか、よく分からなくなってしまった。当時のミノルタはインテリジェンスカードを採用しており、これはカメラにシーンモードを持たさず、SDカードに似たメモリーカードを差し込むと、露出モードがそのように切り替わる代物だった。今ならメニュー画面で100近い種類のシーンモードを選択することができるが、当時は厄介なシステムになっていたのだ。リサイクルショップに有れば105(108)円なので拙僧もちょいちょい拾ったが、使ったことは一度もない。
ミノルタが正気に戻ったのはα7(無印)あたりだろうか。それよりも先に登場したαスイートの成功がミノルタに正常な判断を取り戻したのだと思う。αスイートはキヤノンが当時としては信じられないスペックと価格を実現したEOS1000と、その後裔機であるEOSキスの対抗機種として登場したものである。それまでミノルタの廉価機はα3700iの様に機能を最低限まで削ってコストダウンを測っていたのだが、時代は既に電子化の時代なので、露出モードを省略した程度では大したコストダウンにならなかったのだ。その辺をやっと理解して作り上げたのがαスイートである。
αスイートはよくできたカメラであった。基本的なインターフェイスデザインはα303siにシーンモード選択ボタンを加えたものである。それほど苦も無く絞り優先AEモードやマニアル露出に遷移出来るが、基本的にはオートで使うカメラだろう。特筆なのは軽いのである。作りは確かに安っぽいのだが、初めから一眼レフカメラに重厚さを求めていないママ層にとっては問題ではなく、逆に親近感を持ったのではないだろうか。ボディが軽いのは何よりの福音である。また、EOS系ボディはシャッター幕のモルト崩れが発生し、信頼性を落とすのだが、αスイートは生存率が高い。α5700系とかα707si系の個体は壊れているケースが多いのだが、不思議とαスイートは大丈夫な可能性が高い。
ちなみに本カメラは「スイートS」と「S」がついているが、どうも進化版とかスペシャル版ではく、廉価版のようだ。アイスタートAFを省略し最速が1/2000までと一段遅い。他にもこまごまとコストダウンしているようなのだが、顕著に安くしたと思えるのがマウントが金属製から樹脂製になった。EOSキスに対してアドバンテージであったスイートだが、これで並みの廉価一眼レフカメラになった。耐久性は問題ないのだろうが、寂しい話である。
実際に使ってみるとAFやAEの精度は満足である。ポジを使用しても不満はなかった、しかし、ややレスポンスがダルい。特にレリーズボタンを押下して「べこーん」と安っぽい動作音がするのは気になる。丁度、ニコンのF50に似た感じだ。モダンなデジ一眼レフに慣れた方だと残念に思うだろう。ファインダーは綺麗だし、撮影に困る程ではない。
☆ ☆
もし、本カメラがカメラ店やリサイクルショップのジャンクコーナーに置いてあったら、多分500円前後だと思う。カンの悪いリサイクルショップだと2000円くらいをつけるかもしれないけど、そういう店は無視した方がイイ。
αマウントのレンズは捨て値なのでチョット使ってみると一興だろう。他社だったら高額な24〜80mmや50mmマクロだってあれば2000〜3000円くらいだ。最も、本カメラでマクロレンズの接写は少し酷であろう。
一台くらいはαマウントボディがあると嬉しいな、という程度のモチベーションなら本カメラも悪い選択肢ではない。
本カメラによる撮影結果もご覧頂きたい。