ミノルタ16MG−Sについて


minolta16MGS
16mmカメラとして完成の域にある。

☆ジャンク度☆
フィルムカウンター不良
撮影可能


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レンズはテッサー型の4枚玉。
フロントにはCdsメーターの受光部を置き、ISO感度を設定する。


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 1.2mのクローズアップレンズを内蔵するが、使い勝手は難しい。


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 バックには、今は無き「MINOLTA CAMERA」のロゴが。


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 フィルムはミノックスを拡大した感じである。

 拙僧が生を受けた1972年にコダックから110判フィルムが登場している。カートリッジ式の小型フィルムで我胞ではポケットフィルムとも称していた。なんでも画期的に高画質なフィルム(コダクローム?)に合わせて、L判に引き延ばしてプリントした時に遜色のないフォーマットとして規格化したらしい。のだが、実際には細々と続いていた16mmフィルムのスチルカメラの駆逐は念頭にあっただろう。現に、70年代には殆どの16mmスチルフィルムカメラは消滅してしまう。拙僧が物心ついた頃には家にペンタックスオート110があったから、リアルな認識としては16mmスチルフィルムカメラは知らない。しかし、うっかりミノルタ16Pを手に入れ、実際に使うようになってから、俄然関心が湧いてきた。フィルムをカットするのは面倒なのだが、自作のベルトがそこそこ使い物になってから、ミノックスよりもぐっと身近に自家処理ができるようになった。実はミノックスの現像タンクも手に入れたのだが、リールにフィルムを巻くのが致命的に難しく、拙僧が不器用なこともあって稼働を断念したのである。また、基本的に再使用を考えていない110判フィルムに比べても、フィルム装填は格段に楽だ。110判フィルムも消滅して久しいが、ロモグラフィー系で復活している。もっとも、裏紙のない不完全な状態で何かと使い勝手に問題がありそうだから、完全復活とは言えないな。
                 ☆           ☆
 ミノルタの16mmスチルカメラの登場は1950年代の半ばである。ミノルタ16はプッシュプル式で、かなり凝った構成でメカニズム的には関心深いのであるが、ミノルタも大衆的なニーズを感じたのであろう。1960年早々に簡素化して廉価になったミノルタPが登場する。これはシャッターは単速の1/100で絞りのみで露出を決めるプリミティブな構成になっていた。露出計は搭載していない。ネットオークションでも頻繁に見かけるので、良く売れたのだろう。また、ほぼ同時期にミノルタの16mmスチルカメラはEE化し、一層ユーザーフレンドリーなインターフェイスになる。本カメラは、その延長上にあり1970年に登場している。MG−Sの前にはMGが存在し、どうも露出計がセレン式であったようだ。本カメラはCds式に変更になっている。このMGとMG−Sの差異については、実は拙僧も良くわからない。今時、結構な好き者でも16mmスチルカメラを使っている方は少なく、「物珍しく買った」以上の使用レポートはネット上でも少ないのだ。自家現像の環境を備えた方でも16mmのリールなんてなかなか手に入らないし、フィルムのカットだって相当面倒だから致し方ないだろう。なので、プルーフな情報としてはちょっと勘違いしている場合もあるかもしれないが、優しく指摘していただきたい。
 拙僧の個体はネットオークションで確保したものである。価格は覚えていないが、まず1000円を越えるということは無い。フラッシュユニットと予備のカートリッジ付きで1000円だったかもしれない。出品者も16mmスチルカメラなんて得体も知れないのだが、1000円くらいは値を付けたいのが人情という物だろう。勿論、中には数百円の物件もあるのだが、そう幾つも同じモデルがあっても困るから惜しいことをしたと地団駄を踏むくらいだ。カートリッジの方は価値が分かっている方が多いらしく、いい価格帯になる。
 拙僧の個体はネイビーブルーというか濃い紺色で存在感を出している。レンズはロッコール23mmF2.8で固定焦点(パンフォーカス)だが3郡4枚のテッサー型だそうだ。多くのミノルタ16シリーズが3枚玉なのに比べると奢ったものである。ちなみに、後裔機で最後のミノルタ16シリーズとなるミノルタ16QTはフォーカシングが出来る代わりに3枚玉に戻ってしまった。どうせ、ちまちましたフォーカシングなんてしないだろうから4枚玉の方が嬉しい。また、重要なのは同じフィルムを使用しながら、画面サイズがミノルタPの頃に比べて大きくなっている。これは画質的には結構なアドバンテージがあるのではないか。
 ボディ上部にはシャッターダイヤルが存在し、1/30〜1/500まで5速を用意し、シャッター速度優先AEとなっている。同じボディ上部にはメーターが存在し、絞り値の目安となっている。他の表示部にはフィルムカウンターがあるが、拙僧の個体は壊れていて常に「E(エンプティ)」を表示する。拙僧はこれ一台ということは無いから、他のカメラと使っていると何枚撮影したか分からなくなってしまうのが難点だ。
 レンズカバーはシャッターロックを兼ねており、カバーが閉じたままだとファインダー内左側に赤いフィルムが写りこむ。レンズカバーの他に1.2mの近接撮影等のクローズアップレンズを内蔵するが、何せ目測だし使い勝手は実用に乏しい。ミノックスのようにチェーンが撮影距離の指標になっていると使い道もあると思うのだが。本カメラのような横長のスタイリングだと、レリーズ時にぶれやすい傾向があるのだが、本カメラでは不安は無かった。金属製ボディの適度な重さと、コンパクトなボディがホールディグに貢献しているのだろう。外観で特徴的なのは大きな巻き上げノブである。フィルムのフォーマットが小さいので、巻き上げ角は少なめである。
                 ☆           ☆
 ミノックスに比べるとメカニカルに淫した魅力には欠けるが、大きさも適度で使い勝手は上である。110判フィルムの登場で16mmスチルカメラは滅亡してしまったが、結構、いい写りだったりするので惜しい。16mmフィルムにトドメを刺されてしまったミノルタだが、110判のカメラも登場している。おまけに歴史的な大失敗であったディスクカメラにまで手を出していた。16mmスチルフィルムは1990年代までミノルタが供給していたという話もあり、ミノルタの面倒見の良さが感じられるな。
 そのミノルタもコニカと合併し、民生カメラ部門から撤退してしまった。αを継承したソニーも屋台骨は怪しいらしい。カメラを商売にするのが相当難しい世の中のようだ。そういう意味で言うと、本カメラはフィルムカメラ時代の夢が感じることが出来る。

 
 撮影結果もご覧頂きたい。

(了:2012/7/25)

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