110判フィルムを使おう


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こういう物が部屋に転がるようでは、カメラ趣味も終焉だろう。


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ひとまず、期限切れのジャンク110判フィルムを確保した。
コダックの方は1993年2月に賞味期限が切れている。


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付属していたのは、これ以上削ぎ落すのは不可能なシンプルカメラ。
110判カメラは、このようなおもちゃ同様の簡易カメラが多かった。


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こんな感じで2軸のカートリッジ内にフィルムが装填されている。



 拙僧が16mmフィルムを自作するようになってから、ネットオークションで16mmカメラの出物が多くなった気がする。それは勿論、気のせいという奴で、拙僧の網膜のフィルターが厄介なブツを受け入れるようになったのだろうな。そういう訳で、その後も16mmカメラやフィルムカートリッジは増えている。もっとも、入手したのはミノルタのブツのみである。16mmフィルムは規格が定まっていなかったこともあって、例えばミノルタ16のカートリッジはマミヤ16には使えないのだ。それに、マミヤ16やヤシカ16はいい価格帯になってしまうので、ちょっと手が出ない。ところが去年末に相次いでミゼット判のカメラが出没したのである。少なくても2つの物には未現像のフィルムが装填されていた。ミゼット判フィルムはボルタ判が裏紙付きの35mm幅のフィルムを使用していたのと同様、裏紙付きで16mmフィルムを使用したものだ。つまり、未現像のフィルムとスプールが1セット確保できれば、前述の自作したフィルムが使えるのである。拙僧の興味は勃興した。しかし、当時は関東に遠征中でああり、しかも中野・新宿戦線で予備師団も投入した消耗戦を展開していたから、部隊を派遣する余裕が無かったのである。「おきにいり」でトレースは続けていたのだが、2ソーティほどでロスとしてしまった。以降、フィルム付きのミゼット判カメラは出現していないし、カメラのみでもいい価格帯になる。財政的な事情の他にもミゼット判に進出するには抵抗が有った。つまり、カメラがプリミティブなのである。拙僧もマイクロやベル14、その類似品を実際に目にしたことがあるのだが、確かに大き目のコガネムシくらいのキュートなボディは魅力的であった。しかし、少ない例外を除いては単玉・単速の辛うじて撮影もできないこともないブリキ細工なのである。それならボルタ判カメラも同じなのだが、16mm幅と言うことは、面積で言ったら1/4な訳で、MTF曲線なんてまるで関心が無い拙僧でも、ちょっと手に余るほどのアーチスティックなネガになるだろう。ところが、新しい発想が浮かんでくるのである。110判フィルムだ。こいつは2軸式のカートリッジフィルムなのだが、フィルム幅が16mmなのである。再び、前線は沸騰した。「110判カメラ確保すべし」。三河に帰還する「のぞみ」の車中にて、新しい戦線が誕生したのである。


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カートリッジの分解は予想以上に困難であった。

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フィルムには一コマ毎に、パーフォレーションが打たれている。
これが110判フィルム自作の大きな壁となるのだ。


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参考画像。
実際には拙僧のやっつけ仕事で詰めたカートリッジは遮光が不十分なので、暗箱の中で装填した。


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キヤノン110EDでは、パーフォレーションを感知してチャージしたシャッターロックを解除する。
フィルムを装填しなければ空シャッターが切れるので、パーフォレーション感知バーを折ってしまった。

 110判フィルムの自作については多くのコンテンツで述べられている。問題点は2つだ。一つは16mmフィルムと違い、フィルムカートリッジは分解を前提としていないので、それなりの工作が必要なのである。もう一つが厄介なのだが、ただ裏紙が巻かれている16mmフィルムと異なり、110判フィルムは1コマ毎に1つのパーフォレーション、つまり穴が開けらているのだ。多くのカメラは、このパーフォレーションを感知してシャッターのチャージ、或いはシャッターのロック解除、フィルムの巻き止めを行っている。この穴を開ける方法として複数の方法が先輩諸氏のコンテンツで紹介しているのだが、どれも不器用で面倒くさがりの拙僧には重い仕事であった。もっとも、全てのカメラがパーフォレーションの感知が出来なければ使い物にならないのではない。例えば、ペンタックスオート110などは、パーフォレーションが無くてもシャッターのチャージもレリーズもできるらしい。三河ベースに帰還して早々に軍管区内のキタムラにPT−76装備の偵察部隊を送り込むと、首尾よくフジカの110判ポケットカメラを発見した。一つはズームレンズの付いた奴で、ちょっと欲しいと思ったのだが、1000円のプライスタグは適切でないとスルー。拾い上げるかどうかは兎も角、カメラの構造をチェックする。フィルム巻き上げとシャッターのチャージはキヤノン110EDと同様、押し込み式のレバーにて行う。フィルムがガイドレールには、パーフォレーションを感知すると思われる突起物があったが、特に空シャッターを切る分には関係無いようだ。それで気をよくしていたのだが、事態は拙僧の予測よりも早く展開した。ネットオークション戦線で部隊を展開していた親衛戦車師団が、110判カメラの渾身の名機であるローライA110を確保したのである。主攻目標は別だったのだが、別働隊による攻撃の前に組織的な抵抗のないまま、軽微な損害で大将機を確保できたのだ。どうやらフジフィルム帝国の維持していた110判フィルムの供給終了にて敵将兵が混乱に陥ったようである。この戦いは後にルウム戦役として歴史に名を残すことになる。
 与太は兎も角、いよいよを持って110判フィルムを作成せざるを得なくなった。手持ちに1本の110判フィルムが有ったのだが、これだけでは心ともなくなってしまうのが、拙僧の器の小ささである。もう1本くらい家庭内ジャンク館に転がっている筈なのだが、家庭内ジャンク館は既に制御不全に陥る程膨れ上がり、もはや捜索は不可能である。そこで再び2個師団をネットオークション戦線に投入するのだが、期限切れの浅くて撮影に使えそうな物はあるのだが、結構高いのである。拙僧は速やかに分解する為、古くて使い物にならないブツをゴミ同然の価格帯で確保したいのだ。しかし、そこは拙僧麾下の優秀な狙撃兵の戦いによって、簡易カメラx2、フジフィルムのISO100の110判フィルムx2、コダックのISO200の110フィルムx2を撃破した。送料も含めると、損害は軽微とは言えなかったが、タイミングを見失えば次のチャンスは何時になるかわからないのだ。
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 カートリッジの分解は困難を纏った。やはり、分解を想定していない設計なので強力に接着、若しくはカシメテあるのだ。デザインナイフで慎重に分解するが、かなり不器用に切り離した。遮光性は大いに問題がありそうである。構造的には、見た目は2軸のカートリッジに見えるのだが、実際にスプールを装填してあるのは巻き上げ側だけである。スプールにはピニオンギアが切ってあり、カメラのギアをかみ合い、フィルムを巻き上げる構造だ。本来はパーフォレーションを開けなければなのだが、拙僧のスキルでは難しいので16mmをカットしたものを、そのまま裏紙に巻いた。入手した110判フィルムは12枚撮りと24枚撮りの両方があるが、軸の無い送り側のスペースにフィルムを巻いて詰めるのはかなりコツがいるので、24枚撮りのフィルムを手に入れたとしても、12枚撮り程度で押さえた方が無難だろう。120判フィルムを半分の長さにすると、大体12枚撮り相当の長さになる。問題はフィルムカートリッジの荒々しい切断面に対する遮光なのだが、不器用な拙僧がダークボックスの中でアルミテープなりの補修を行うのは困難なので、カメラもダークボックスに入れて、カートリッジの装填までを行った。カメラ側でどれだけ満足な遮光をしているのかは疑問だが、とりあえず、そのままで行く。
 ローライA110を確保した後、偵察部隊が戦域内のキタムラのジャンク駕籠でキヤノン110EDを発見、確保した。1000円のプライスタグは、今更110判カメラを買うには高いとも思ったが、前述のフジカポケットズームも何時の間にか消えており、まさかと思うが、三河の戦域内で110判カメラ確保のライバルがいないとも限らないので、確保したのである。生きている電池が詰まっていたし、妥当であろう。早速、自作のフィルムを詰めてローライA110とキヤノン110EDを実戦に投入した。


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 キヤノン110EDにて撮影。
 どうも、光線漏れが気になる。


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 ローライA110にて撮影。
 やはり光線漏れが確認できるが、キヤノンほど酷くないようだ。
 流石のテッサーで肉付きのある写り。

 撮影結果を見ると、やはりどこか光線漏れしているようで感光している。キヤノン110EDは酷く、ローライA110は比較的軽微のようだ。また、明らかに現像ムラが発生しているのだが、この辺はトライアンドエラーでつぶしていくことになるだろう。
 掲載画像はエプソンのフラットヘッドスキャナGT−X700で読み込んだものである。既に旧式だが実力のあるモデルである。フィルムの固定はキタムラの棚ずれで安く買ったフォトスタンドのガラス板を流用し、スペーサーも兼ねている。ニュートンリングの発生を完全に防げるわけではないのだが、おおむね良好である。恐らく、何かしらのコーティングがなされているのであろう。


 ローライA110のコンテンツもご覧頂きたい。

(了:2012/3/2)

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